6カ国協議 空洞化への序曲 きしむ日米と韓、協力ついに終焉 | trycomp2のブログ

6カ国協議 空洞化への序曲 きしむ日米と韓、協力ついに終焉

【ワシントン=樫山幸夫】北朝鮮の核開発をめぐる日米韓の三国調整グループ(TCOG)の枠組みが以前からきしみをみせていたが、さきの六カ国協議での開会が見送られたことで、名実ともに終止符が打たれた。日米と韓国の思惑の違いを克服できなかったことが最大の原因だった。TCOGは六カ国協議の根幹をなす枠組みだっただけに、その崩壊について、「六カ国協議空洞化につながるおそれがある」(米国の朝鮮問題専門家)という懸念が台頭している。

 十一月上旬に北京で開かれた第五回六カ国協議では、米朝、日朝、米韓、日韓、日米などさまざまな組み合わせの二国間協議が行われたが、これまで毎回開かれてきたTCOGは見送られた。

 TCOGは過去、六カ国協議の場を離れても随時開かれ、核問題で三国が結束して北朝鮮に圧力を加えるという重要な役割を果たしてきた。それだけに、その崩壊が今後の北朝鮮の核問題の行方に影響を与えるのは避けられそうもない。

 TCOGの起源は一九九〇年代前半にさかのぼる。米朝核合意前年の九三年二月、米国務省、ワシントンの日韓両大使館の担当者が深刻さを増していた北朝鮮の核問題について協議したのが最初だった。九六年一月、その後の対北朝鮮人道支援のモデルとなった水害の救援問題を話し合うために代表を次官級に格上げした。

 九九年四月には、対北政策全般についての調整の場として制度化され、TCOGという名称もそのとき初めて登場。最初は次官級、その後は局長級でホノルル、東京、ソウルなどで、節目ごとに北朝鮮問題を協議、共同声明は毎回発表してきた。

 しかし、公式なTCOG会合は二〇〇三年一月が最後。同年七月の会合からは「非公式」の形式をとり、共同声明発表も見送られ、今年夏の第四回六カ国協議の場では、かろうじて開会にこぎつけたが、その後、消滅は時間の問題とみられていた。

 TCOG崩壊の最大の原因は、六カ国協議を通じて、韓国が議長国の中国、ロシアに傾斜、北朝鮮への柔軟な姿勢を打ち出したことによる。これによって日米との対立が鮮明となり、共同声明のとりまとめが困難になったためだ。

 米国は韓国の姿勢に変化が見られない限り、「開いても意味がない」として復活には消極的といわれる。その場合、今後の六カ国協議では、日米対中韓露の対立の図式がいっそう鮮明になる。

 その日本も、北朝鮮との直接対話を再開しており、拉致問題が解決した場合には、核問題とは切り離して北朝鮮への経済支援に踏み切る可能性がある。そうなれば、あくまでも強い姿勢で北朝鮮の核問題を解決するという米国は、六カ国協議の中で完全に孤立してしまう事態も予想される。

 一方で米国としても、従来否定してきた米朝直接対話を拡大、強化しており、今後は北朝鮮との直接交渉に踏み出す可能性も指摘されている。

 「TCOGの崩壊によって、各国がそれぞれの思惑によって動き出し、六カ国協議が有名無実化するおそれがある」(インターナショナル・センター、ケン・キノネス研究員)という危惧(きぐ)はますます強まりそうだ。(12/01)



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