北朝鮮工作員による拉致、韓国では異例 | trycomp2のブログ

北朝鮮工作員による拉致、韓国では異例

 横田めぐみさんの夫とされる人物である可能性が高いとされた金英南(キム・ヨンナム)さんは、78年8月、韓国西部の全羅北道沖の仙遊島(ソニュド)で拉致された。韓国政府が認める、北朝鮮による韓国人拉致被害者は485人。拿捕(だほ)されるなどした漁民が大半だが、金さんら5人は北朝鮮工作員らによって拉致されたとみられる韓国では異例の被害者とされる。

 韓国情報機関の国家安全企画部(現・国家情報院)の発表によると、対南工作を担当する北朝鮮・作戦部の工作員3人が78年8月5日夜、金さんを拉致。全羅南道・紅島(ホンド)では同月10日に2人を連れ去った。その後、紅島では77年8月12日にも2人が拉致されていたことが発覚した。5人はすべて男子高校生だった。

 日本でも、めぐみさんが77年、地村保志さん夫妻、蓮池薫さん夫妻、曽我ひとみさんらは78年に拉致された。5人の高校生は北朝鮮工作員に韓国事情を教えさせられていたといわれる。

 安企部は97年の捜査報告で、「朝鮮戦争時に北に渡った『越北者』が年を取ったので、新たに南の人間を拉致して工作に利用しろ」という金正日(キム・ジョンイル)総書記(当時は書記)の指示を受け、5人を拉致したと明らかにした。だが、直接の指示の有無は不明との指摘もある。

 金さんを含む5人は、韓国の拉致被害者の中でも特異なケースといわれている。韓国統一省によると、朝鮮戦争(50~53年)以降の韓国人拉致被害者485人の約9割は漁民。約3700人の漁民が拉致され、3250人余りは釈放されて帰還したが、一部は北朝鮮に取り残されたままだ。

 南北朝鮮は互いに長く相手の存在自体を否定、自国体制の優位性を激しく競い合ってプロパガンダを繰り返してきた経緯があり、韓国国内でも拉致問題が大きく取り上げられてこなかった。

 金さんらも、当初は行方不明として処理されたが、97年に安企部が北朝鮮工作員を逮捕。「5人は北で生存している」と自供したため発覚した。

 ただ、北朝鮮は韓国人拉致被害者について、自らの意思で北朝鮮にわたったなどとして一貫して「存在しない」との立場を崩さず、朝鮮戦争時に発生した捕虜とともに韓国政府の送還要求に応じていない。
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