日朝作業部会、拉致問題置き去りか
6者協議の合意文書には「日朝国交正常化」作業部会の設置も盛り込まれた。日本政府は拉致問題を中心議題に据える方針だ。だが、北朝鮮はこれに応じないばかりか、6者協議や米朝対話の進展を背景に、日本が対北朝鮮外交で出遅れている姿をいっそう浮き彫りにしようとする可能性が高い。
日朝間では昨年2月に拉致、核・ミサイル、国交正常化の3テーマを並行協議する枠組みを作った。だが、横田めぐみさんの遺骨をめぐって「別人のもの」と主張する日本と、返還を求める北朝鮮が衝突し、中断したまま。今回、作業部会に舞台を移し、仕切り直しを目指すことになる。
日本政府が拉致問題を6者の枠組みと連動させたいのは「拉致問題の解決を国際社会との約束にしたい」(外務省幹部)との狙いからだ。外務省では19日、谷内正太郎・事務次官や佐々江賢一郎・アジア大洋州局長らが集まり、作業部会に向けた対処方針を協議。拉致問題と国交正常化の協議を同時並行で進めていくことなどが提案された。
外務省によると、作業部会の日程や場所、担当者については北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側と調整中。交渉団には、包括並行協議で日本側代表を務めた原口幸市・日朝国交正常化交渉担当大使や伊原純一・アジア大洋州局参事官らの名前が挙がるが、なお流動的だ。
日本政府内には「北朝鮮にとって、日朝作業部会は6者協議を前に進めるためのお付き合いで、中身を動かす意欲はないのではないか」(外務省幹部)との見方も強く、協議は原則論の応酬に終始する可能性もある。
北朝鮮外務省は19日、報道官声明の形で安倍首相を名指しで非難した。ラヂオプレス(RP)によれば、日本絡みの報道官声明は05年1月以来。北朝鮮外務省の対日部門は日朝対話に積極的とみられてきたが、日本に強い姿勢を示した。
北朝鮮は昨秋、6者協議への「日本参加不要論」を唱えたほか、年末からは日本をさげすみ、「倭国(わこく)」「島国」と表現し始めている。こうした強硬姿勢は6者協議再開の機運が高まると同時に進行。専門家の間では「米国が対話路線に傾くなか、日米関係を重視する日本を揺さぶる好機とみている」との指摘が出ている。
北朝鮮関係筋は、日本人拉致問題について「総書記が2度も首脳会談に応じた。これ以上の譲歩はない」と言い切る。一方、在日朝鮮人の間では安倍政権への不満が強いため、日本独自に実施している制裁の解除や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などへの取り締まり強化を「敵視政策」だとして撤回を求める可能性が高い。
ただ、北朝鮮は6者協議が進展すれば、米国、韓国との関係を進めた上で、いずれ日朝対話に出てくるのは間違いない。1月に自民党の山崎拓・安全保障調査会長を平壌に招いたのも「安倍政権とは話したくないが、日朝関係は進めたい」(北朝鮮関係筋)という意向の表れとみられている。
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