テロ支援国家指定 北、解除へ強気も 米国内に懸念の声
【北京=有元隆志】米政府が事実上の経済制裁として行っていた北朝鮮関係口座の全面凍結解除に合意したことで、米朝協議の次の焦点は、制裁のもうひとつの柱である北朝鮮のテロ支援国家指定の扱いに移る。米側が今回、凍結資金解除で大幅な譲歩をしたことから、北朝鮮がテロ支援国家の指定解除を核問題とからめて強気の要求をしてくる可能性は高い。テロ支援国家指定は拉致問題とも密接に絡んでいるだけに、米政府の出方次第で、日本も厳しい対応を迫られそうだ。
ブッシュ政権は、マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)問題について、「違法な金融活動から国際金融システムを守る目的は達成できた」(スノー大統領報道官)と説明し、対北朝鮮政策に変更はないと強調する。
これに対し、北朝鮮の人権問題に取り組んできた下院外交委員会のロイス議員(共和党)は19日、「北朝鮮政権はこれまで国民の窮状にまったく注意を払わなかった」として、人道・教育目的のために資金を返還することを認めた財務省を批判する声明を出した。
元国防総省東アジア地域問題部次長のチャック・ダウンズ氏も「北朝鮮はいったん資金を手にしたら、それらを金正日総書記のぜいたくな邸宅のために使うこともできる」と語った。
ダウンズ氏は北朝鮮が「次の段階」として、テロ支援国家指定の解除を優先課題として提起する可能性を指摘。6カ国協議で、米首席代表のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が解除に取り組もうとしていることに懸念を示し、「ブッシュ大統領が国務省に対して、この問題では強い態度で臨むよう指示を出すことを期待する」と語った。
ロイス議員らはこのほど、日本人や韓国人の拉致事件が解決しない限り、北朝鮮をテロ支援国家指定から除外しないよう求める書簡をライス国務長官あてに送った。
ヒル次官補も20日、記者団に日本との連携の重要性を強調しており、直ちに指定解除に取り組むことはないとみられる。
米政府関係者は「ライス長官、ヒル次官補ともに北朝鮮を信頼に足る交渉相手とは思っていないが、外相会談を実現すれば、核問題で前進が図れると期待しているようだ」と指摘。今後の情勢次第では政策転換がありうるとの見方を示唆した。
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【用語解説】テロ支援国家指定
「テロ支援国家」に指定されると、武器関連の輸出・売却の禁止、軍民両方の品目の輸出制限などの制裁が科せられる。現在、北朝鮮、キューバ、イラン、スーダン、シリアの5カ国が指定されている。北朝鮮は大韓航空機爆破事件の翌年の1988年1月からリストに加えられた。拉致事件は03年版(04年4月公表)から明記された。支援国家のほかに「テロ対策に協力不十分な国家」指定もあり、指定変更や制裁の緩和などの措置が取られる可能性もある。
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