2児を被害者と認定 北朝鮮拉致19人に
一九七三年に渡辺秀子さん=当時(32)=と子ども二人が失跡した事件で、警察庁は十二日、子ども二人を北朝鮮による拉致被害者と認定した。警察庁による拉致認定は十三件、十九人となった。警視庁と兵庫県警は国外移送目的略取容疑で共同捜査本部を設置。実行犯の一人の女は日本国内に居住しており、関係者の事情聴取を進める。
調べでは、二人は渡辺さんと在日朝鮮人の夫との間に生まれた高敬美ちゃん=同(6)、剛ちゃん=同(3)。福井県小浜市の海岸から工作船で連れ去られ、警察当局は船の接岸現場も特定した。
渡辺さんの夫は北朝鮮の対日工作拠点だった貿易会社「ユニバース・トレイディング」(東京、既に解散)に所属。同じく同社に所属していた女工作員 (59)ら四人程度が拉致にかかわったとみられる。女工作員は北朝鮮で生存している可能性が高く、捜査本部は今後の調べで逮捕状を取り、国際手配する方針。
女工作員らはユニバース社の実態が発覚することを恐れ、七三年十二月ごろに渡辺さん母子を監禁。七四年六月中旬に二児を北朝鮮に拉致した疑いが持たれている。
女工作員は七四年一月にいったん出国。日本国内に戻ってからユニバース社の関係者に子どもを北朝鮮に連れ去る計画を指示した。現在も日本国内に住む女が子どもの世話をしながら工作船に乗せたとみられる。
警察当局は、ユニバース社関係者からの事情聴取で拉致の時期などを特定。現場は地村保志さん夫妻の拉致現場にも近い海岸だった。
警察庁は、工作船での連れ去りに「北朝鮮の国家意思が推認できる上、両親の意向が確認されておらず、子どもたちの意思に反している可能性が高い」と説明。北朝鮮の拉致事件と判断した。
子ども二人は朝鮮籍のため拉致被害者支援法に基づく被害者とは認定されない。
渡辺さんについては、この女工作員らに殺害されたとみられ、捜査本部は慎重に捜査を進める。
中国新聞ニュース