北國新聞社説:拉致実行犯特定 宇出津事件解明の糸口に | trycomp2のブログ

北國新聞社説:拉致実行犯特定 宇出津事件解明の糸口に

01月07日
http://www.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm

 漆間巌警察庁長官が「拉致問題で勝負に出る年にする」と述べた。昨年末に地村、 蓮池両夫妻拉致事件の実行犯二人を初めて特定できたことが、発言の背景にある。 実行犯の一人は、日朝交渉でもほとんど手がかりがない宇出津事件(一九七七年発 生)への関与も指摘されており「拉致事件は解決ずみ」とする北朝鮮のかたくなな態 度を崩す糸口にしたい。
 二人のうち「朴」と呼ばれている工作員は、日本人の戸籍を使いスパイ活動を繰り 返した西新井事件の容疑者でもある。一九八五(昭和六十)年に摘発された西新井 事件は戦後の北朝鮮スパイ工作の実態を明らかにした事件として知られている。
 主な活動の舞台は東京都内だったが、協力工作員が能登の宇出津から密出入国 を繰り返していたことなどが分かり、宇出津事件との関連性が指摘されることになった。
 それまで能登半島からの工作員の出入は密出入国事件と思われていた。ところが 日本人の戸籍を利用するために、何人もの日本人を国外に連れ出している可能性が 高まり、密出入国は拉致事件として再認識されたのである。行方不明とされていた 横田めぐみさんら一連の事件が、北朝鮮の拉致として社会問題化していくきっかけを つくった事件としても記録されているのである。これら事件に関与していたと見られる 男たちが、重要拉致事件のほとんどに関わり、実行犯と特定されたことの意味は極め て大きい。

 宇出津事件で拉致され、不明となっている久米裕さん(当時五十二歳=東京都出身 )は、〇二年の日朝交渉でも「入国の事実なし」とされ、ほとんど手がかりがないまま 推移している。横田めぐみさん拉致の二カ月前に発生した、いわば最初期の拉致問題 である宇出津事件の解明は、いまも重要課題である。あらためて関心を高め、捜査機 関は情報の再発掘に挑んでもらいたい。
 今月下旬から予定される日朝政府間交渉には北朝鮮にぶつける新たなインパクトが 必要である。漆間長官は消息不明の十一人に関して「帰国をサポートできるよう捜査 に力を入れる」としている。北陸では二容疑者の事件を再度、身近で切実な問題として 考えていかねばなるまい。