「我慢限界過ぎた」、拉致解決求め悲痛な叫び 国民大集会 | trycomp2のブログ

「我慢限界過ぎた」、拉致解決求め悲痛な叫び 国民大集会

 拉致被害者の「家族会」や支援組織「救う会」などは二十二日夜、東京・日比谷公会堂で全国規模の「国民大集会」を開催した。韓国、レバノンに加え、タイの被害者家族も初めて参加。帰国した被害者の曽我ひとみさん(46)も登壇した。約二千人が会場を訪れ、被害者家族らの悲痛な叫びに熱心に耳を傾けた。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の父で、家族会代表の横田滋さん(73)は過労で入院中。代わりにあいさつした田口八重子さん=同(22)=の兄で、同会副代表の飯塚繁雄さん(67)は「横田代表は過酷な活動で体調を崩した。家族も年を取り、我慢の限界は過ぎた」と制裁発動を訴えた。

 母、ミヨシさん=同(46)=の救出活動を続ける曽我さんは「『お母さん』という言葉を耳にするたびに、切なくなりますが、また昔のように楽しい生活に戻りたい。皆さんの力が必要です」と協力を要請。

 タイ人被害者のアノーチェ・パンジョイさん(51)の兄、スカムさん(59)は「北朝鮮に拉致された妹の境遇を思うと悲しい」。レバノン人被害者、シハーム・シュライテフさんの母、ハイダールさん(69)は「娘を取り戻す夢を捨てかけていたが、日本の皆さんに励まされ、もう一度取り戻したいと強く願うようになった」と語った。

 「元気かい」「日本のみんなが応援しているよ」…。会場では「特定失踪(しっそう)者調査会」が北朝鮮にいる被害者向けに短波放送で流すメッセージが読み上げられ、涙を誘った。

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 ■見えぬ「厳しい対応」/家族連携、国際社会に訴え

 あす二十四日から二日間の日程で日朝政府間協議が行われるのを前に、拉致被害者の家族らは国民大集会を開催した。年の瀬が迫った平日の夜、今回も日比谷公会堂は多くの人々で埋まった。日朝協議が決まる前から家族らがこの時期に大集会の日程を組んだのは二つの理由があった。

 ひとつは、「あの日」から一年を迎える節目だから。「あの日」とは、横田めぐみさんの偽遺骨を含め、北朝鮮側が提示してきた安否不明の被害者情報について、細田博之官房長官(当時)が「『死亡』や『未入国』を裏付けるものは皆無」とし、「誠意ある対応がなければ、厳しい対応を取らざるを得ない」と制裁をにおわせた昨年十二月二十四日のことだ。

 あれから一年。政府は不誠実な対応を続ける北朝鮮に「厳しい対応」を取ったのか。十一月に約一年ぶりに開かれた政府間協議で、「北」は拉致問題について「解決済み」との姿勢を崩さなかった。「偽遺骨で解決」とする対応のままで、国交正常化に進もうとするのであれば、世論の同意を得るのは難しい。

 「なぜ、ここまできて制裁をしてくれないのでしょうか」。めぐみさんの母、早紀江さん(69)は憤りを隠さない。「北」の核問題をめぐる六カ国協議の推移をみながら、厳しい対応に踏み切れない政府の姿が、被害者家族には「言行不一致」と映る。集会はそのことをただす意味があった。

 そして、もうひとつ。集会には韓国とレバノンの被害者家族に加え、初めてタイの被害者家族を招いた。国際社会の世論喚起が目的だ。

 国連総会は今月十六日の本会議で、「北」の外国人拉致を「組織的な人権侵害」と非難する決議案を賛成多数で採択した。高齢の家族らがジュネーブや米国に何度も足を運び、国際社会に訴えたことが実った。

 曽我さんの夫、チャールズ・ジェンキンスさん(65)の手記で、タイ人やルーマニア人拉致があったことが新たに判明すると、中国やマレーシアなどの被害者の存在も次々と浮上。フランスやイタリア、オランダなど欧州の被害者が工作員訓練を受けていたという有力情報もある。

 家族らは拉致問題への国際包囲網構築のチャンスが生まれた時期に、韓国とレバノン、タイの被害者家族を呼んだのだ。

 制裁発動と国際連携。家族の意思が明確になっている分、日朝協議で進展がなければ、政府の「言行不一致」が一層際立つ形にもなりかねない。(中村将)

(12/23)
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