産経抄 | trycomp2のブログ

産経抄

 どうした風の吹き回しなのだろう。北朝鮮の高官二人がそろって日本にやってきた。彼らは核開発を扱う六カ国協議の北の首席代表と次席なのだという。日本には金輪際くることはないと思っていたから、意表を突く来日だ。

 ▼米国による金融制裁が効いて、背に腹は代えられぬということか。偽ドル札をせっせと刷って、マカオの銀行を通じた資金洗浄で国家財政を支えてきた。だが、北朝鮮口座の凍結でとたんに干上がった。米財務省に懇願してみたが、ニベもなく拒絶された。

 ▼当たり前だろう。財務省は禁酒法時代に暗黒街の顔役アル・カポネと対決した「アンタッチャブル」の取り締まり本拠地だった。ドルの管理どころか、つい最近まで大統領警護のシークレットサービスを担当していた怖い役所だ。日本の財務省のように柔なエリートじゃない。

 ▼金正日体制の権力基盤は、カネと軍だから資金が細ると地盤が崩れる。小欄の独断だが、米国という「将」を射んとせば、まず日本という「馬」を射よと来日を決めたに違いない。日本に六カ国協議の代表を送り込めば、米国との仕切り直しが可能だ。ヒル代表はこわもて財務省と違う国務省の役人である。

 ▼北は「金融制裁の解除なくば参加せず」といっていたが、民間主催ならその限りにあらずだ。日米朝が動くと、中韓露の三カ国の代表もそろい踏みになる。拉致解決への期待をもたせれば、日本から資金を分捕ることも夢じゃない、か。

 ▼だが、六カ国協議の議長国、中国の真意がつかめない。米国が昨年九月に「北への軍事攻撃なし」を宣言してから、対北積極投資に転じた。直前には国防相が訪朝して軍事協力まで合意している。せいぜい中朝の師弟の契りに気をつけよう。
Sankei Web 産経朝刊 産経抄(04/08 05:00)