米大統領に面会 北へ圧力、日米が呼応 | trycomp2のブログ

米大統領に面会 北へ圧力、日米が呼応

 拉致被害者横田めぐみさんの母、早紀江さんとブッシュ米大統領との面会が実現したのは、国際世論を喚起して拉致問題を解決したい小泉政権に対して、人権問題に焦点をあてて北朝鮮に圧力を加えたいブッシュ政権が呼応したからだ。

◇日本 拉致、国際世論に訴え

 小泉首相は28日夜、横田さんと大統領との面会実現について「米国が拉致問題に大きな関心を寄せているという表れ。拉致は許すことのできない人権侵害である。日本も米国と協力し、世界も関心をもってほしい」と記者団に語った。

 日本政府で面会実現に尽力してきたのは安倍官房長官だった。18日、ブッシュ大統領の側近であるシーファー駐日米国大使に電話で協力を依頼。19日にはクラウチ米大統領次席補佐官(国家安全保障担当)に大統領との面会を正式に依頼した。めぐみさんは日本人拉致事件の象徴とされており、こうした日本の世論も説明して面会の意義を強調したとみられる。

 安倍氏は国際世論の喚起こそが、拉致問題の解決に結びつくと考えてきた。官房長官就任直後の昨年11月、シーファー大使との昼食の席上で、大使が拉致被害者家族と面会するよう早速頼んだ。12月には、北朝鮮による拉致問題を含む人権問題を担当する大使を新設。めぐみさんの夫とみられる韓国人男性についてのDNA鑑定も実現させた。

 安倍氏は28日の記者会見で、早紀江さんの米下院外交委員会の公聴会証言に触れ、「米国議会証言は世界に発信すること。圧力が北朝鮮にしっかりかかっていく」と強調した。

 外務省も動いた。早紀江さんは訪米を決めると政府に面会要望リストを提出。その中に「ブッシュ大統領かチェイニー副大統領に会いたい」と記していた。早速、ワシントンの加藤良三駐米大使や斎木昭隆特命全権公使を通じて、大統領との面会実現を働きかけた。

 一方、関係者によると、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)メンバーが大統領と面会したいとの意向を伝えたのは今年3月上旬。米議会での公聴会出席が内定し、打ち合わせのため東京の在日米大使館を訪れたときだったという。

 3月16日には新潟の横田めぐみさん拉致現場を視察したシーファー大使が「大統領に直接会って伝えたい」と言っていた。同行していた横田滋さんは「大使が直接大統領に言ってくれるなら、会えるかもしれない」と思ったという。

◇米、人権問題重視の流れ

 面会や公聴会での証言は非政府組織(NGO)が推進する「北朝鮮自由週間」に合わせて行われた。中心的役割を果たすディフェンス・フォーラム基金のスザンヌ・ショルティ会長は「(面会実現は)日本政府の働きかけが大きかった」と評価。「ブッシュ政権内でも北朝鮮人権問題の優先順位が高まっている」と歓迎している。

 面会は人権、民主主義を重視する大統領の路線とも合致する。大統領は昨年6月、北朝鮮の強制収容所で10年間過ごした経験をもつ脱北者の韓国記者と会談。「手記にうたれた大統領の意向」(報道官)だったという。10日には対テロ戦争に関する演説の会場で「核問題と同じくらい気にいらないのは人々が餓死しつつあるという事実だ」と強調。20日の胡錦涛(フー・チンタオ)中国国家主席との首脳会談でも中国が北朝鮮に送還した脱北女性を取り上げ、「脱北者に対する責務を中国は考える必要がある」と迫った。

 ブッシュ政権が北朝鮮の人権問題を取り上げるのは「核問題では進展が期待できないため」(外交筋)との見方もある。人権問題に焦点を当てれば、北朝鮮に配慮する中国に対する圧力になるという読みもあるようだ。
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