北朝鮮渡って45年 「母が心待ち」在日二世の手紙、日朝協議で北側に | trycomp2のブログ

姉さん帰ってきて
病身の母(88)の見舞いに来日するよう、北朝鮮にいる姉(69)にあてた愛知県豊田市の在日二世、安本左久子さん(60)の手紙が、今月三、四日に北京で開かれた日本と北朝鮮の政府間協議の場で、北朝鮮側へ手渡されていたことが分かった。安本さんは「母に話したら深くうなずいて涙を流し、『ありがとう』と繰り返していました」と語り、姉の来日実現を心待ちにしている。
◆愛知・豊田の安本さん「最後の親孝行を」
手紙は、安本さんが外務省に託した。政府間協議の後、日本代表の斎木昭隆外務省アジア大洋州局審議官から北朝鮮代表の宋日昊(ソン・イルホ)外務省アジア局副局長に手渡したと、日本の外務省から電話で連絡があったという。同省は取材に「協議は拉致問題などが主。交渉ごとなので内容の公表は控えたいが、安本さんの件で善処を求めてはいる」と答えた。
安本さんの姉は一九六〇(昭和三十五)年、在日朝鮮人の帰国事業で北朝鮮に渡り、一度も日本に戻っていない。愛知県三好町に住む在日一世の母は二年前、脳内出血で倒れ、今は静養中。安本さんは母と姉の対面を果たしたいと、両国政府や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などへの働きかけを続けている。
しかし北朝鮮側は姉の出国を認めず、来日への展望は開けていない。一方で、安本さんが日本の外務省から聞いた話では、北朝鮮側は昨年秋の日朝実務者協議で「(安本さんの姉は)北朝鮮黄海南道で暮らしている。姉の件は人道的問題として(帰国事業を日本赤十字社とともに当時実施した)朝鮮赤十字会に提起する」と述べたという。
安本さんの手紙には「母に会って最後の親孝行してあげてください。姉ちゃんも私もみんな老いてます。元気なうちに会いましょうね」などと記されている。姉あての手紙は普段、月二通ほど郵便で直送するが、返事は数カ月遅れで年に数通届くだけ。今回は両政府代表を通すことで事態の進展を促そうとした。
姉からの返事には「(出国には)たくさんお金がいる」と書いてあったこともある。安本さんは「北朝鮮へ戻り、離れ離れになった親族の来日を願う人は私以外にも大勢いる。多くは高齢化し、残された時間が少ない。政治を超えた人道的な問題として実現してほしい」と期待している。
(写真)日朝政府間協議で北朝鮮側に渡された安本さんの姉あての手紙のコピー。右上の封書は以前、北朝鮮に住む姉から届いた手紙
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