憂楽帳:「拉致」 | trycomp2のブログ
先日、報道センターで一本の電話を受けた。かけてきたのは「在日」を名乗る年配の男性だった。彼は怒っていた。「拉致被害者の連中は、自分たちだけが被害者だといい気になっている」
彼が言うのは、戦時中の強制連行だ。日本が朝鮮半島などから人々を連行して、各地の炭鉱などで働かせた。「拉致」そのものだ。その数は70万人とも90万人ともいわれる。従軍慰安婦にされた女性もいる。生きて故国に帰れなかった人々も少なくない。
確かに強制連行は許されることではない。かと言って、電話の主のように拉致被害者にその怒りをぶつけては気の毒というものだ。北朝鮮には真実を明らかにさせ、謝罪させなければならないのは当然のことだ。
翻って、戦時中の強制連行について、日本は誠意ある対応 をしてきただろうか。拉致問題に対するのと同じように、強制連行の被害者にも真摯(しんし)に耳を傾ける必要がある。連れ去られた人の痛み、肉親を奪われた人の悲しみは、いつの時代も変わらないからだ。【衛藤親】
毎日新聞 2006年5月24日 中部夕刊
MSN-Mainichi INTERACTIVE 憂楽帳
