総連関係者、貿易会社員を工作員に勧誘…2児拉致の当時
埼玉県上福岡市(現ふじみ野市)の渡辺秀子さん(当時32歳)の2児が1974年6月に拉致された事件で、東京都品川区の貿易会社「ユニバース・トレイディング」(78年ごろ活動停止)に社員として在籍していた工作員の多くは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の当時の関係者から「就職先を世話する」などと誘われて工作員組織に加わっていたことが、警視庁公安部の調べでわかった。
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同社の社員になる前に総連関連の施設で教育を受けた工作員がいたことも判明。公安部は、自衛隊の機密情報の収集などにあたっていた工作員組織の設立に、朝鮮総連が関与していたとみて調べている。
調べによると、渡辺さんの在日朝鮮人の夫は、ユニバース・トレイディングが71年6月に設立された当初から同社の「専務」を名乗り、73年6月に消息を絶つまで、同社を拠点とする10人前後の工作員のリーダー格を務めていた。
公安部や兵庫県警が調べた結果、これらの工作員のほとんどが大学や高校を卒業した直後に、同社に社員として採用されていたことが判明。このうち在日朝鮮人を親族に持つ都内在住の男(58)は九州の大学に在学中、朝鮮総連の関係者を名乗る人物から「就職先について話がある。(総連の)幹部が会いたがっている」などと連絡を受けていたことがわかった。
この男はその後、待ち合わせ場所で渡辺さんの夫に引き合わされ、その席で、「会社を設立するので働かないか」と持ちかけられて同社に入社していた。
日本の高校にあたる朝鮮高級学校の卒業生の男女数人も卒業直前、「就職先についての説明がある」と朝鮮総連に呼び出されて面接を受け、総連関連の教育施設に数か月間通った後、同社に配属されていた。この中にも工作員になった卒業生がいたという。
一方、渡辺さんの長女敬美(きよみ)ちゃん(当時6歳)と長男剛(つよし)ちゃん(同3歳)の世話役として工作船で北朝鮮に連れ去った女(55)は、学生時代、朝鮮総連と関連の深い学生団体の活動を通じて、2児の拉致を指示した同社役員の女(59)と知り合い、同社に入社するよう誘われていた。
これらの工作員のうち数人は、同社が正式に設立される数か月前の71年春、都内のホテルで開かれた設立パーティーに社員として出席。その場で、朝鮮総連のナンバー2で同社を設立した当時の総連第1副議長から「祖国のために頑張ってくれ」と激励を受けたという。
公安部では、こうした状況から、総連本体が、10代後半から20代前半の若い男女を工作員組織に引き入れるため積極的に協力した可能性もあるとみている。
(2007年4月13日14時49分 読売新聞)
総連関係者、貿易会社員を工作員に勧誘…2児拉致の当時 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)