北朝鮮資金返還:「マカオ当局が凍結口座の解除準備」
【北京・西岡省二、ソウル堀山明子】米財務省は10日、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」で凍結されている北朝鮮関連資金(約2500万ドル=約30億円)の返還問題について「マカオ当局がすべての凍結口座の解除を準備している」との声明を発表した。方法や金額など具体的内容は不明だが、米国は当初検討していた中国国有「中国銀行」を通した一括返還ではなく、52口座の名義主へ直接返還する方向で調整している模様だ。
訪韓中のヒル米国務次官補は同日、米財務省声明の直後に会見し「障害は取り除かれた。北朝鮮は早期に国際原子力機関(IAEA)と協議し、(核施設停止などの)履行を急ぐべきだ」と強調。6カ国協議の初期段階措置合意に基づく核施設の稼働停止・封印を実施するよう促した。
ヒル次官補は同日夜、ソウルで訪韓中の武大偉・中国外務次官と米中2国間で代表協議を行い、今後の6カ国協議の対応について話し合う。
米財務省は先に、凍結解除された資金は人道・教育分野に限って使うことで米朝が合意していると発表しているが、マカオ当局がどのように北朝鮮の使途を制限するのかは不明。ヒル次官補は「適切な手続きが必要で、具体的にはマカオと北朝鮮当局が合意することだ」と述べるにとどめた。また、韓国政府当局者は「北朝鮮に任すことにした」と述べ、北朝鮮当局の裁量に委ねる方針へ譲歩したことを示唆した。
一方、韓国外交通商省の千英宇(チョンヨンウ)朝鮮半島平和交渉本部長はヒル次官補との会談後、「これで05年9月の北朝鮮口座凍結前の状態に戻った」との認識を示し、「明日からBDAの凍結口座はマカオで自由に引き出すことができる」と述べた。韓国政府当局者によると、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念対象にBDAを指定、取引停止した米財務省の制裁措置については、今まで通り有効という。
BDA問題は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議進展の大きな障害になってきた。前回協議(先月22日休会)で、北朝鮮はBDA資金の全額返還確認後、寧辺(ニョンビョン)核施設の稼働停止などを盛り込んだ初期段階措置を履行すると表明。履行期限となる14日までの実施は困難とみられている。
同問題をめぐり、米財務省はグレーザー米財務副次官補(テロ資金・金融犯罪担当)を3月下旬から北京に派遣。約2週間にわたり中国銀行のほか、香港などの金融機関への資金移管による解決を目指してきた。しかし、中国銀行などは違法資金の疑いがもたれている北朝鮮資金の扱いに難色を示し、必要書類の不備など技術的な問題も重なり協議は難航していた。
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