6カ国協議 中国の「懐柔」裏目 北、原則論蒸し返す | trycomp2のブログ

6カ国協議 中国の「懐柔」裏目 北、原則論蒸し返す

【北京=伊藤正】北京で開かれた北朝鮮の核をめぐる第五回六カ国協議は、九月の前回協議で発表した共同声明履行のための作業計画はむろん、次回協議の日程も決まらないまま終わった。北朝鮮が原則論を蒸し返すなど強い姿勢に出たことが主因と協議筋は指摘する。その背景には、中国との関係緊密化があるとみられ、中国の「北朝鮮懐柔戦略」が裏目に出たようだ。

 外交筋によると、中国は「各国との事前の根回しが不十分」としながら、「次回協議は十一月上旬」とした共同声明を守る意義を重視、九日開催を決めた経緯がある。

 しかし、直後のアジア太平洋経済協力会議(APEC)、来月中旬の第一回東アジア首脳会議を控え、核問題を解決に向け前進させる必要があったと同筋は指摘する。

 両会議とも将来の共同体結成を念頭にした地域協力強化が主要議題だが、中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓を中心にした東アジア共同体構想に積極的なほか、北朝鮮も含めた北東アジア共同体も視野に入れだした。その最大の障害が核問題であり、一貫して六カ国協議に多大の労力を投入してきた理由の一つだった。

 前回協議で北朝鮮の核放棄への基礎ができた後、中国は十月に呉儀副首相を団長にする代表団を北朝鮮に派遣したのに続き、胡錦濤国家主席が就任後初めて訪朝、「伝統的友誼(ゆうぎ)を新情勢下で全面発展させる」ことで合意した。経済支援強化だけでなく、社会主義体制の「同志」として政治的緊密化が特徴だ。

 中国は六カ国協議を通じ米朝をはじめ北朝鮮と各国の対話が行われ、北朝鮮の体制維持への不安は軽減したとみている。胡錦濤氏の訪朝は、中国側の物心両面の支援強化で北朝鮮の不安を解消し核問題の早期解決を促す意味があったと、中国の専門家筋は分析する。

 この中朝の「新時代」は北朝鮮に自信を強めさせたようだ。六カ国協議に先立つ日朝協議も、北朝鮮のイニシアチブが目立ったが、六カ国協議では、核放棄への「四段階」提案をする一方、韓国および地域(日本を指す)の米国の「核の傘」廃棄から北朝鮮系企業の資産凍結問題などまで持ち出し、議論を振り出しに戻した印象を与えた。

 北朝鮮の金桂寛首席代表が日本大使公邸での会食に応じたのも、中国の支援をバックにした北朝鮮側の自信の表れにほかならず、北朝鮮が核を放棄する日は来るのかに疑問を抱かせた。次回協議の日程がいつまでも決まらない事態になれば、中国の北朝鮮懐柔戦略は見直しを迫られよう。

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 【議長声明の要旨】

 一、六カ国は朝鮮半島の検証可能な非核化を早期に実現し、「約束対約束、行動対行動」の原則に従い、(前回合意した)共同声明の完全な履行を再確認。

 一、六カ国は共同声明を包括的に履行し、すべての約束を実施。共に勝者となるような結果を達成する用意がある。

 一、六カ国は共同声明を実現するための具体的計画、措置、手順を作成することに合意。

 一、六カ国は第五回六カ国協議の第二セッションをできる限り早い期日に開催することに合意。(中国総局)
Sankei Web 産経朝刊 6カ国協議 中国の「懐柔」裏目 北、原則論蒸し返す(11/12 05:00)