制裁決議案提出 日米、強硬路線を貫く | trycomp2のブログ
北朝鮮のミサイル発射に対する国連安全保障理事会の攻防。日米両政府は7日、強硬路線を変えず、制裁内容を草案よりも強めた決議案を提出した。中国による拒否権行使の可能性も残り、賭けの側面もあるが、それよりもスピードを重視した対応だ。日米は8日採決は見送ったが、10日の採決も辞さない構え。制裁内容を弱める修正協議に中露が応じるかなどを焦点に、ギリギリの折衝が週明けまで続く。
◇スピード重視…切り崩し懸念、10日にも採決
「拒否権を持つ国の顔色を常に見ながらやらなければならないというのはおかしい。日本は譲ることはない」。麻生太郎外相は8日、大阪市で講演し、中露の主張する議長声明への「格下げ」や、決議案から制裁部分を削除するなどの譲歩はしない考えを強調した。
日米は北朝鮮がミサイルを連射した5日朝、即座に安倍晋三官房長官がシーファー駐日米大使と会談し、国連安保理と主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)で北朝鮮への国際包囲網を構築することを確認。同日、安保理非公式協議の開催を求め、制裁決議草案を提示した。
日本政府は当初、「決議を通すことがボトムライン(最低線)」(政府筋)と考えていた。決議草案は中露との協議次第で「非難決議」に弱めることもあり得るとの戦術だった。それが、7日になって「制裁決議の8日採択」という路線に転換。麻生外相が非常任理事国の駐日大使を集めて支持を働きかけるなど、外交攻勢に出た。
日米が採決を急ぐのは、中国が議長声明案を提示しアフリカの非常任理事国などに働きかけを始めたためで、中国による切り崩しが進む前に先手を打つ狙いがあった。
これに対し中国は態度を硬化させ、麻生外相、ライス米国務長官がそれぞれ李肇星外相との電話協議を呼びかけたが応じず、拒否権行使もちらつかせたため8日採決は見送った。小泉純一郎首相の靖国神社参拝で首脳間対話ができなくなっている状況もまた、制裁論議に影を落としている。
決議案の制裁内容を草案より強めたのは中露への譲歩の余地を広げる意味合いもあるが、話し合いの糸口は見えない。
こうした中、日本外交が従来の調整型から装いを変え、強硬路線の先頭に立っていることには「米国に踊らされた感がある。日本が前面に出て降りられない状況になり、『日米対中露』の構図が作られてしまった」(外務省幹部)と戸惑いの声も出ている。【山下修毅】
◇拒否権に悩む中国…露は行使に慎重
決議案に拒否権を行使するか、棄権するか。中国は難しい対応を迫られる。10日からの武大偉次官の訪朝で、北朝鮮から態度の軟化を引き出したいところだが、一方で、日米、特に日本の強硬路線に「対中外交」戦略や「ポスト小泉」の動きも絡むと警戒を強める。
中国は説得を無視されてのミサイル発射に衝撃を受けたが、事態を好転させる努力を急ぐ。最も有効なのは北朝鮮から6カ国協議復帰の約束を取りつけることだ。
決議案が採択されれば、中国の対北朝鮮外交・貿易に直接的な影響が出るとの懸念がある。「議長声明にとどめるべきだ」と主張し続けるのもそのため。決議案阻止への努力を北朝鮮に見せ、軟化を促す狙いもある。
拒否権を使えば、中国へのイメージは著しく損なわれる。15日からのサミット関連会合には胡錦涛国家主席も出席するが、対応に苦慮する。
そうした中、中国が困惑するのは日本政府の強い姿勢。拒否権行使の場合、日本国内の怒りの矛先は中国に向かう。日中関係は小泉純一郎首相の靖国神社参拝で悪化したが、日本が北朝鮮のミサイル問題を介し、中国に攻勢に出たとも映る。安倍晋三官房長官や麻生太郎外相が、9月の自民党総裁選とも絡め強硬姿勢を続けているとの見方もあり、注視している。
一方、発射されたミサイルがロシア近海に落ちたことから、ロシアの北朝鮮不信はこれまでになく強まっている。ロシアは「安保理で毅然(きぜん)とした対応を示すことが不可避」(ラブロフ外相)との強い姿勢を打ち出している。制裁決議には、「北朝鮮への脅しだ」として反対しているが、安保理での拒否権行使には慎重姿勢をみせている。
サミットで、議長国ロシアは北朝鮮問題への一致した姿勢を演出したい考え。首脳間の分裂を避けたい事情が拒否権行使に慎重な理由のようだ。【北京・飯田和郎、モスクワ杉尾直哉】
毎日新聞 2006年7月9日 1時58分
北朝鮮ミサイル:制裁決議案提出 日米、強硬路線を貫く-北朝鮮の動き:MSN毎日インタラクティブ
