環境と開発 両立難しく アジア開銀総会
京都市で開かれていたアジア開発銀行(ADB)第四十回年次総会は七日、二日間の日程を終えて閉幕した。黒田東彦総裁は同日夕、締めくくり演説を行い、環境に配慮しながら、アジア地域の経済成長や貧困削減を目指す考えを示した。
黒田総裁は「アジア地域の成長は持続可能なものでなければいけない、と加盟国間で合意した」と説明。具体的には、クリーンで効率的なエネルギー利用を進めるため、各国が協調していく必要性を確認した。
各国はまた、社会資本を整備することは経済成長だけでなく、途上国の人々の教育や健康のためにも有益だとして、ADBが投資環境の改善に努めることを確認した。
次回総会は来年五月にスペインのマドリードで開かれる予定。
十年前に京都議定書を採択した会場で開かれた第四十回アジア開発銀行(ADB)年次総会。重要課題の地球温暖化対策は、日本が省エネ普及の基金創設を打ち出すなど一定の前進があった。一方、化石燃料によるエネルギー開発への融資も続けるADBの姿勢を、環境保護団体が「温暖化を助長する」と総会で批判するなど、開発途上のアジアでの環境保護の難しさも浮き彫りにした。
総会ではADBの黒田東彦総裁が「環境への責任はコストではなく、未来への投資と考えるべきだ」と演説。尾身幸次財務相も、アジアのエネルギー消費量が二〇三〇年には現在の二倍に増える見通しを示し「二酸化炭素(CO2)排出削減は避けて通れない」と各国に訴えた。
省エネ技術導入や水力、風力発電促進などADBの環境関連の融資総額は現在、年間十億ドル。今後も毎年、同額以上の融資を続ける方針だ。「専門知識のハブ」として、環境保護の知識、技術の提供にも力を入れる。
一方でADBは、最近もインドなどの石炭火力発電所建設への融資を決めるなど、“化石燃料依存”は続く。環境保護団体「グリーンピース」によると、過去五年間の化石燃料発電所建設へのADBの融資総額は、風力などクリーンエネルギーの約六倍に上る。
ADBの環境関連部門責任者シュアム・バジパイ氏は「非政府組織(NGO)の意見は尊重するが、開発途上国の意見も同様だ」と話す。一日一ドル未満で生活する貧困層がいまだ六億人に上り、インフラ整備も依然として必要とされるアジア。同氏は「発電で貧困を改善しなければいけない。石炭が豊富でコストも安い国なら、それに頼ることになる」と、この地域の現実を語った。 (内田康)
東京新聞:環境と開発 両立難しく アジア開銀総会:経済(TOKYO Web)