つばさなき身の悲しけれ めぐみさんの思い…川崎の歌手らCD制作 | trycomp2のブログ

つばさなき身の悲しけれ めぐみさんの思い…川崎の歌手らCD制作

 拉致被害者横田めぐみさん=失踪(しっそう)当時(13)=の父親で拉致被害者家族会代表の滋さん(74)と妻の早紀江さん(71)を支援しようと、地元・川崎市民らが自主制作したCDが、反響を呼んでいる。きっかけとなった主婦の思いを、ソプラノ歌手が引き継いだ。早紀江さんは「とてもきれいな歌。この歌を聴いて、拉致問題に関心を持ってもらえれば」と話す。売上金の1割は同会に寄付される。

 収録されたのは、離島に住む母を慕う若者の心情をつづった「母恋し」。「沖縄音楽の父」といわれる作曲家宮良長包氏(1883-1939年)が、82年前に作曲した。

 中学時代に、音楽教師だった宮良氏の孫からこの歌を習った沖縄県出身の主婦上原紀江さん(60)=川崎市高津区=が、2年前、テレビニュースで小学生のめぐみさんの姿を見て、この歌を思い出したという。「まるで母を思うめぐみさんの心境を歌ったよう。この歌を横田夫妻に贈りたい」

 その年の夏、上原さんは地元デパートで偶然、沖縄民謡を耳にした。「澄んだこの声こそ」と駆け寄ると、イベントで歌うソプラノ歌手桜井純恵さん(39)=同=だった。

 「あなたの声の、この歌を横田さんに聴かせてあげたい」。上原さんの熱意に打たれ、桜井さんは、市内に住む知人のピアニストに編曲を依頼。スタジオ費用などをすべて負担し、2006年7月、数枚のCDを作成、横田夫妻に贈った。

 これ以来、拉致問題に深い関心を寄せる桜井さんは、自らのコンサートなどでもこの曲を歌うように。「心に残る」「ぜひ販売して」との声が相次ぎ、販売用CDの作成を決めた。

 再録音の費用もすべて自費。題字や自身の写真撮影も市内の知り合いに頼んで、手作りのCD1000枚を作った。桜井さんが市内のCDショップなどを回り、店頭に置いてくれるよう頼んだ。CDは5月20日に発売、既に200枚近く売れたという。「めぐみさんがお母さんを思って歌うとどうなるんだろう、と考えて歌っている。たくさんの人に聴いてほしい」

 早紀江さんは「歌詞は聴いているとつらいものがあるけれど、哀愁があって温かい歌。川崎に住んで17年ですが、地元の人に本当に助けていただいている」と話している。CDは1枚1000円。問い合わせは、ミュージック・マーケット=電044(813)3409=へ。

 母恋し

この海越えて あの島に

母上います ああ恋し

心ばかりは

かよえども

つばさなき身の

悲しけれ

み空の風に たずぬれど

海の白波 なくばかり

母のたよりは

しられざり

しずしず夕日は

沈みゆく

 (東京新聞川崎支局・市毛史歩子)

中日新聞:つばさなき身の悲しけれ めぐみさんの思い…川崎の歌手らCD制作:社会(CHUNICHI Web)