ゲームのはなしだ。~女神異聞録 デビルサバイバー編~ | でたとこTRY@CATCH!

ゲームのはなしだ。~女神異聞録 デビルサバイバー編~

女神転生のナンバリングタイトル的なシリーズではないが、
女神転生の要素が色濃く反映されたシミュレーションRPG。

悪魔が現れた東京が封鎖され、その東京の中で、悪魔との関わりを問う物語。
女神転生らしく、”正しい答えは何か分からない”ルートの分岐があって、周回プレイが楽しめる仕組み。
移動は選択式。物語は会話とシミュレーションパートのみで進行していく。
ジャンルとしては、アドベンチャーノベルとシミュレーションRPGの混在型というべきだろうか。

女神転生といえば、難易度が高いことでユーザーを選ぶけれど、デビルサバイバーはそうでもない。
一般的なSRPGと比べれば、ゲームオーバー回数は多くなるのは仕方ないが、しかしそれは、ほどよい難易度といった程度で、むしろ心地よい。
物語が進むにつれ、ボス級の敵との初対峙では、まず死ぬことになるだろう。
それがゆえに、ボスの強さが身にしみるのではないか。もちろん、対策はしっかり練れるように作られている。

召還した悪魔を合体させて、新しい悪魔を作るシステムも、もはや完成されていて隙がない。
インターフェースも使いやすく、ストレスとなる長いエフェクトも皆無で、快適にプレイできるところは、地味ながらも非常に評価できるところ。

それにグラフィックが綺麗。
新宿とか、品川とか、秋葉原とか、リアルに切り取られた街の絵にうっとり。
ロック調のサウンドもサントラが欲しくなるくらいの素晴らしさ。

あれ。
特徴をあげていくと、このゲーム、良いところばかりじゃないか。

強いて悪いところをあげるとすれば、ボリュームの少なさかもしれないが、
淡々と進行するシミュレーションパートは、あまり長いと苦痛になるのも事実で、周回プレイを前提として考えれば、そこも不満足ではない。

シナリオには若干の不満足はあるか。しかしこれも好みだからなんとも言えないが。
ルートの分岐を用意している関係上、ルートによって役割の薄い人物がでてきてしまい、その周辺の物語に深みが感じられないのだ。
プレイヤーの選択によっては、始まったサブストーリーは何の進展もなく、自然終了していて、「あいつの、あの話はどうなったのか」は分からぬまま終わる。
贅沢をいえば、この辺り、他のルートを進んだのなら、主人公たちによって解決されなかった物語がメインの物語に影響を及ぼすような展開が欲しかった。
分岐の多さから考えれば、ほんとうにそれは贅沢だが。

ただ、誰しも手放しで楽しめるゲームとはいえないのは確か。
マス目を選んで移動・攻撃を繰り返すゲーム性が不得意な人はいるだろうし、
たとえば、定型のキャラクターが好きな人は、このゲームに登場するいかなる人物にも愛着が分からないだろう。
伝説の武具もなければ、未知の冒険があるわけでもなく、主人公の出生にまつわるサプライズもないわけで、
ファンタジー世界を堪能したいタイプのユーザーに選択されるゲームではないかもしれない。

名作・傑作と判を押すことはしないが、
優良ゲームであることは間違いない。