長門有希の100冊 | でたとこTRY@CATCH!

長門有希の100冊

と、いうものがあるらしいことを、初めて知った。

のだが、この100冊がまた、結構な具合に本格推理寄りなんで、つい嬉しくなってしまった次第で。

しかも、何と言うか、適当にミステリぽいものを選らんだのではなく、
もう、その作者のどんぴしゃりな名作といえば、それですね、的な、
そんなまさに本格好きが選んだとしか思えないチョイス。

ハルヒの作者の谷川さんが本格好きなのは、ハルヒを観ていれば容易に分かることだが、
長門の読んでいた本が、本格だらけとは。


『星を継ぐもの』J・P・ホーガン 
なんて素晴らしい。SFでありながら確かな本格テイスト。

『鋼鉄都市』アイザック・アシモフ
もう一つSFの名作を忘れないところもグッド。

『僧正殺人事件』ヴァン・ダイン、『三つの棺』J・D・カー
なんて鉄板どころもしっかり押さえつつ、
『ギリシア棺の謎』エラリー・クイーン
と、あえて『Yの悲劇』や『エジプト十字架の謎』ではなく、ギリシア棺なところがなかなかどうして、やるじゃないか。

『陸橋殺人事件』ロナルド・A・ノックス
なるほど、ノックスの十戒あたりを押さえるためにも、この辺もチョイスするセンスの良さ。

さりげに、『ブラウン神父の童心』G・K・チェスタトン
なんかを挟んでるところも憎い。何しろ、涼宮ハルヒの憂鬱 はどう考えてもブラウン神父系タイトルのオマージュであるから。

そして、海外ばかりでなく、しっかり日本の本格も良いところを衝いてくる。
『十角館の殺人』綾辻行人
まさに! 新本格ムーブメントはこの作品から始まった。これを忘れないところに、本格魂を感じる。

『魍魎の匣』京極夏彦
当然のごとく外していない。

新本格なら、ほらほら! という感じで以下のラッシュも。
『双頭の悪魔』有栖川有栖
『誰彼』法月綸太郎
『有限と微小のパン』森博嗣

さらに
『夏と冬の奏鳴曲』麻耶雄嵩
『ジョーカー』清涼院流水
あたりの変化球にも対応しているなんて、なんという懐の広さ。この感覚は間違いなく、本格の道の人。

おっと待て、と。
新本格ばかりが日本の本格じゃないぜ、とばかりに
『オイディプス症候群』笠井潔
『奇想、天を動かす』島田荘司
もセレクト。
しかしなぜ、『バイバイ・エンジェル』や『異邦の騎士』ではないのだ!
この選択には若干の疑問を感じつつも、まぁ、全てが全て自分と同じ趣味とはいきませんよと
思っていたら、

『ドグラ・マグラ』夢野久作
しっかり奇書までリスト入りさせているじゃないか。なんたる! なんたる最高な100冊か!


知らなかった。
長門が、いやハルヒが、本格推理の普及にこんな貢献をしていたなんて。

素晴らしい。
実に。実に素晴らしい。このリストには、ほとんど文句はない。
付け足したい名作は山ほどあるが、100冊選べといわれたら、ある程度の削りは仕方なかろう。
あえて、クリスティを抜いたところにも、本格のおいしいところを敢えて残しました、みたいなサービス精神が感じられる。

まあ、足りない名作は、いずれ「優騎洸の100冊」で。

みんな、長門の100冊、全部読みましょう!
え? 読まない?
じゃあ死刑で。