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『りんごが教えてくれたこと』

数日前、テレビを見ていたら、ムツゴロウさんによく似たリンゴ農家の面白い人が出ていた。

弘前のりんごの無農薬栽培に成功した人だという。

農業には多少興味があるが、そりゃあ、数ある農家の中には無農薬栽培に成功する人もいるだろうくらいに思っていた。

歯が抜けていたので相当お爺さんと思ったが63~64才だという。

一昨日、仙台で一時間ほど時間が空いたのでBOOK・OFFに寄った。

話題図書のところに、あの歯抜けの親父の本があるではないか。

これはなにかの縁と早速ゲット。

帰ってから一気に読んだ。

あの歯抜けにも理由があった。

りんごの無農薬栽培に成功するには10年近くの歳月が必要だったという。

農業で無収入の間、パチンコ屋の店員、キャバレーの便所の掛け持ち掃除。東京でホームレス同様の生活で段ボール集めもしたそうだ。

歯が無いのは、キャバレーの客引きをしている時、ヤクザの事務所に連れて行かれ殴られたからだそうだ。

転機はそんな生活のある日だった。

首を吊って死のうと山に入った彼は、手入れもしていないのにたわわに実っているリンゴの木(実際はドングリ)を見た。

下草は刈っていないのに土はふかふか。

その後、完全無農薬、無肥料栽培に成功した彼は言う。

全ての雑草、昆虫にも存在の理由がある。

雑草の下草は刈らないことで周辺の環境温度を下げ、りんごの生育を助ける。

害虫がいるから、それを食べる益虫が出てくると言う。

悪循環と言う言葉があるが、現代の農薬、肥料漬けの農業はまさしくそのスパイラルにハマってしまっているようだ。

自然界にあるものは必要があって存在し、全ては縁で結び付いているということなのだろう。

その伝で言うと、偶然にもその前日全国公開されたという映画「奇跡のリンゴ」の主人公木村秋則さんのこの本とボクとの出会いも、大いなる宇宙の縁ということと言えるのかもしれない。

『りんごが教えてくれたこと』 木村秋則著より