朝日連峰 中岳付近より南端の秀峰「祝瓶山(いわいがめやま)」を望む。
今日は皆さんを、一泊二日の朝日連峰「いいとこ取り」縦走にご案内します。
朝日連峰は山形県の中西部に位置し、南北に長く横たわる新潟県の北部が、山形県にくい込んでいる所と境を共にする急峻な連山です。
出発地「日暮沢小屋」
初めは5人の予定でしたが、都合で3人になり、朝日連峰経験者はボクだけだったので、ボクがリーダーになってしまいました。そうなると、大変です。折からの台風もあり、出発の可否から判断しなくてはなりません。でも台風もどうやら西に大きくそれたところから、決行することにしました。
日暮沢7時30分出発です。メンバーはSSさん、H2さん、ボクの3人です。実はこの計画、「朝日に行ってみたい」という二人のたっての希望だったのです。
日暮沢の急登
写真ではよくわかりませんが、いきなりカウンターパンチのような急坂です。どこの山でも急登はあるのですが、この坂は圧巻です。二人ともヒーヒー言ってます。ボク?ボクは苦しいけど、大丈夫です。急坂に来たら、諦めるのです。彼らは諦めがありません。例えは悪いですが、ボクは冬眠のクマや市場に引かれていく家畜を想い、基礎代謝で登ります。彼らにはまだ欲がありますね。SSさん、つべこべ言わずに足を動かしなさい。
月山、葉山?
振り向くと月山、葉山の方向でしょうか?苦しさを忘れさせてくれるような景色が見えました。
清太岩山(せいたいわやま)からユーフン山に向かう稜線
ここまで3時間30分、コースタイムより30分ほどの遅れです。実は秘かに南の端の以東岳まで行くことも考えていたのです。いつもは最後尾で写真を撮ったり、みんなについて行く僕も今日はペースを作らなくてはなりません。二人がつぶれないように、そして甘やかさないように、以東に行くには、ここから7時間は必要です。今日はどこまで行くか・・・・・・?
霧の向こうの竜門小屋
ようやく竜門小屋が見えてきました。無口になっていたSSさんも舌(ぜっ)好調になってきました。ユーフン山をユルフン山とか、わけのわからないことを言い始めてきました。ふんどしから、ハミ出したら相撲は負け。決まり手は「はみだし」とか。どうやら遭難はしないで済みそうです。
竜門小屋
竜門小屋が見えてきました。小屋到着は13時。コースタイムより1時間の遅れ、雨模様の天気。今日の行動はここ止まりにしました。仕方が無いですね。
新潟の海
その分ゆっくりと過ごすことにしました。この小屋からは日本海が見えます。管理人の遠藤さんの話では、手前が新発田、村上。奥が新潟市だそうです。夜になると、新潟の灯が見えるそうです。「おだまり!」とか言いながら。♪「にいがたは、にいがたは~、おもかげのまち~」とかやりたくなりましたがやめました。今日はボク、リーダーです。
竜門小屋からの紅葉
重い装備を持たないボク達が、インスタントコーヒーや菓子パンなど食べていると、管理人さんから、クマ肉の差し入れがありました。5月に獲ったクマとか。ボクは何度かクマ肉は食べたことがあるのですが、二人は初めて。H2さん、「食べると臭いをクマがかぎつけるらしいよ」と言ったのが効いたのか、一口食べただけでやめてしまいました。臭いの無い赤みの肉って感じで、美味しかったですよ。
竜門の由来の雪形
竜門の名前の由来は、春に出るこの雪形からきたそうです。ボクはさっきの急坂を登りながら、ここが朝日の「登竜門」、ここまで来ることが出来たら、朝日が少しは見えてくるよ。などと由来を考えていたのですが、妄想でしたね。
夕飯は熱湯30分のα米の白米や赤飯に、カレーやシチューを掛けた、わけのわからないものを食べて、8時ごろ就寝しました。山はみんなを良い子にさせてくれますね。
雲海
一夜明けました。低い雲が谷をうめて、湖のように見えます。
竜門小屋出発
今日は天気は良さそうです。6時30分、大朝日岳に向かって出発です。二人も元気そうです。ボクはこの二人、鳥海山、岩手山と言う、5時間くらいの登りは経験済みですから、大丈夫と見込んでましたが、本人たちは、未知の世界に不安と希望が入り交ざってるんでしょうね。期待を裏切らない好天を祈りたいですね。
大朝日岳一番奥の、とがった山
朝日連峰には、こんな鉛筆の先のような秀峰が3つあります。北に障子ヶ岳、そして大朝日岳、南に祝瓶山です。
大朝日小屋
大朝日小屋が見えてきました。小屋から大朝日岳山頂へは20分ほど。今日もうっすらとですが、鳥海山や蔵王が見えました。数年前この小屋から見た星空も圧巻でしたよ。こぼれるようなとか、星が降るって言う表現が大げさでないのを実感しました。♪ウォンチュッ!・・・・意味わかんねーだろうな~?
古寺山
月山
ブナの巨木
日暮沢への下り
大朝日からは、小朝日をトラバース(迂回)して古寺山、ハナヌキ峰を通っての長~い下りでした。みんな疲労困ぱい。ボクも、とうに参っていたのですが、何べんも言いますが、今日はリーダーですから、ひたすら動揺を隠し、実に9時間30分の熱闘を終えて、4時に日暮沢小屋にたどりつきました。
民宿大原のソバ
もちろん帰りは大井沢温泉。ヌメリがあっていいお湯でしたよ。そしてその向かい側の民宿大原の、キノコたっぷりのソバ、かなり食べてから撮ったので恐縮ですが、小鉢の、ミズの実やミョウガ、キュウリの漬けもの、食用菊のおひたし、キノコとナスの炒め物、美味しかったですよ。今日も「まいう」でした。舞茸取りから帰ったご主人に聞いたのですが、この辺りも今年は舞茸が大豊作とか、「雨が降らなかったのに何故豊作?」の質問に、菌が飛ぶのには乾燥が良くて、秋の雨で一気に出たとの解説でした。
今日は二人の山友も、下手なリーダーに良く付いてきてくれました。ありがとう!あー今日も楽しかった~
ボクはこの西川町や庄内地方が大好きなんですよ。山登りをしないあなたも、この自然を味わいに是非お出かけくださいね




















