アイ、ビイ、シイ、リイ、イイ、エフ、ジイ・・・・・・・
Good day Sir グーリ デイ シヤッー 善き 日で ござる
嘉永4年(1851年)、14才で漁に出て漂流し、アメリカで高等教育を受けた後帰国した、土佐の漁民「万次郎」はのちに英語をこんなふうに教えた。
現代日本人のような、スペルの先入観がないから、聞こえた通りに教えたのだろう。
鎖国政策をとっていた幕府は、長崎出島を通じてオランダとの貿易はしていたので、蘭学者はいたが、他の言語、ことにアメリカの国力を知るにつれて、英語教育を急ピッチでする必要に迫られていた。
しかし、当時は蘭学者全盛時代、オランダ語ふうにSunをシュン、Birdをビルドと発音したりして現場は大分混乱していたという。
その頃清水卯三郎と言う人が著した「ゑんぎりしことば」は臨場感があって興味深い。
かみ=ペープル さとう=シュガル ほし=ステル・・・これらの「ル」はそのこゑをほのかにいふ。
あす=ツモロウ こよひ=ツナイト くち=モーツ・・・これらの「ツ」はツとトのあいこゑなり、ツというごとく、はをむすびトといふときはそのこゑとなる。
はなはだよろしき=ウェリグード なみ=ウェーウス・・「う」はバ、ビ、ブのあいこゑで、うはばをしたくちびるにしかとあてつつ・・・・・
辞書を作るのも、開国を望まない勢力、いわゆる攘夷派の暗殺を恐れて命がけだったようだ。
坂本龍馬の「海援隊」が作った辞書もあったように、さまざまなものが出たのだが、この卯三郎の、カタカナと平仮名だけの「ゑんぎりしことば」が商人たちの間で、実践的だともてはやされたのも、なにやら現代にも通じる話のようで面白い。
話は私ごとになるが、CS放送で韓国語チャンネルを見始めてから7~8年になる。
少なく見積もってドラマを一日に10分見たとして、365日×10分×8年=29200分だから、推定500時間程韓国語会話に接したことになる。
で、今、韓国語会話のレベルはと聞かれれば、「?」と言わざるを得ない。
この頃は学校英語を批判しなくなった。会話を、実践ではなくバーチャルで覚えることの難しさが身にしみて解ったからだ。
ノーベル賞を取った学者が、会話は出来ないが学術書は読めたので学問には不自由しなかったと言っていた。
「学校英語」・・・・付け焼刃で会話の時間を少し増やすより、現行のままでもいいのかもしれない。
はてさて、自分が習った英語教育、そして、スカパーTVでの韓国ドラマを視て韓国語を覚えようとした経験から語れば、「必要に迫られないものは、覚えられない」それに尽きるようだ。
