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猿倉方向より鳥海山を望む

「矢島口」が祓川ヒュッテまで除雪されるゴールデンウィークから、ボーダー、スキーヤー、カンジキ登山の人々は、雪の鳥海を目指してやってきます。

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子吉川と桜

麓の「子吉川」沿いの桜も盛りを過ぎ、法体の滝が落とした雪解け水が、音をたててながれてゆきます。

ゴールデンウィークの鳥海山を登るようになってから、確か今年で5年目か、6年目。

最初の年は、テレマーカーと一緒に子供用ソリをかついで登りました。

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祓川より鳥海山頂を望む

ショックでした。鳥海山は全山雪で覆われていました。夏道には登山道があります。春の鳥海に、道はありません。自分の登攀力と相談して自分が道を選ぶのです。これが冬の登山者が危険な雪山を目指す理由の一つだったのか、と思いました。

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人々は蟻のように、そして黙々と山頂を目指します。

山頂までは速い人で3時間、遅い人で5時間でしょうか?1時間ほど登ると「七ツ釜」避難小屋があります。うれしいのはここが最初のリタイヤ場所に出来ることです。

祓川の登り始めと七ツ釜、目指す鳥海山外輪は、ほゞ一直線上にあります。ボクは205度にコンパスを合わせてきました。後にこれが役立ちます。

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ダケカンバ(ニセ白樺)

雪の上に顔をのぞかせるダケカンバは、風でなびいているのではありません。風雪でこのようにしか育たないのです。

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暗雲

風がやゝ強かったのですが、青空を見せていた天候も、標高1800mの「氷の薬師」に近づくにつれ、時折の突風やホワイトアウトの様相もみせてきました。

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急傾斜の休憩者 こんなところでも、一息つけます。

目標の外輪まで標高で、あと100m。2100mの舎利坂付近まで来ました。もちろん外輪到達が目標でしたが、一方でやめ時も考えていました。

登りで40分位残しているでしょうか?ホワイトアウト(ガスで見えなくなる状態)が長くなってきました。今まではやめる理由がありませんでした。出来れば、疲れたとか、なんとなくの恐怖感ではやめたくありません。

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GPS軌跡



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GPS軌跡拡大


結局、山頂は断念することにしました。残りの舎利坂の急な登りと、戻りの急滑降。山頂(外輪)を極めた勲章は残るかもしれませんが、ホワイトアウトのリスクを考えると割に合わないと考えました。

コンパスは180度プラスして25度の方向に切ります。あとはオープンバーン。七ツ釜経由祓川ヒュッテまで一気です。

七ツ釜でNHKがカメラを回してました。今月の中旬、短いニュースで放映だそうです。

ボク?もちろん!終わったところを、撮影隊におねだりしてまで写してもらいましたよ。

そう!数タ~ンで転びました。

みなさん、これからでも遅くありません。初夏の鳥海山を目指して、自分を鍛えてみませんか?