故井上ひさし氏は、前妻との結婚生活中、家庭内暴力を振るっていたという。

娘さんの書いた本に書かれていたというが、真偽の程は、わからない。

その著作や、生まれ故郷、山形県川西町に図書を寄贈したり、高校生活を過ごした仙台での、文学館館長としての活動からは、優しさは見えてきても、暴力の片鱗は伺うことは出来ない。

ある主婦が、文学館の文章指導の講座で、出産のために来られなくなることを、一言入れて作文を提出したら、「無事の出産を祈ります」と、朱筆の添削をもらい、感激したとも聞いた。

…ボクの父は、外面(そとづら)がいい人だった。

音譜カモン べィべ トゥダ ロコモーション

ある日の夕食中、ラジオからこんな音楽が流れてきた。

宮城の方言で「べべ」は女の子のあちょこのこと。

二度目の音譜カモン べィべで、4人姉弟の誰かが笑った。たまらず、みんながクスクスと笑い始めた。

「親が失敗したのが、そんなに可笑しいかむかっ

ちゃぶ台はひっくり返さなかったと思うが、父がプイと外に出た。

その剣幕に兄弟はあっけにとられた。

カレーの調理中、父が皿を落としたから、そのことで怒ったのではないかと、後に姉から聞いた。

ボクは、内面(うちづら)が悪い大人には絶対なるまいと思った。

晩年になると、顔見知りの人から、「〇〇、ごちそうさま」と良く声をかけられた。

いつも有り余るくらい作って、知人にお裾分けしていたのだった。

父を良く言う人はいても、悪く言う人はいなかった。

今考えると、外面(そとづら)でいっぱいいっぱいの人だったような気がする。

…時々、他人のことで汗だくになっていたり、家の中で、ムッとしている自分がいる。

遺伝なのだろうあせる