「あれ、いぎふってきやぁした。
むがす、こんだぁ、おばんつぁんのばんでがす」
(あれ、雪が降ってきましたよ。昔話、今度はお婆さんのばんですよ)
「鼻曲がり地蔵」
水沢の正法寺の境内にある、鼻の曲がった地蔵のお話です。
昔、近くの黒石の山中で仙人のような生活をしていた男がおりました。
時折、寺にもやってきて、和尚さんとお話をしていきますが、名前を聞いても「風来坊」とだけしか答えてくれません。
ある時、正体を知っていたお地蔵さんが、あの男は「武蔵坊弁慶」だと和尚さんに耳打ちしました。
あくる日男は、和尚さんに「お前は武蔵坊弁慶だそうだな」と言われました。
男は、不思議に思いながらの帰り道、お地蔵さんの前を通ると、お地蔵さんは気まずくて少し顔を横に向けました。
「ははあ、おまえだな、おれの名前を和尚に教えたのは」
言うが早いかお地蔵さんの鼻はねじり上げられました。
それからそのお地蔵さんは「鼻曲がり地蔵」と呼ばれるようになりました。