ざしき童は、みちのくの旧家の奥座敷に現れます。


おかっぱ頭で赤ら顔の子供だとも言われています。


賢治の「ざしき童子(ぼっこ)」には


10人の子供が、座敷で手をつなぐ遊びをしていると、いつの間にか11人になっている。


でも、不思議と誰も知らない子供はいない。


川の渡し守が、一人の子供に「渡し」を頼まれ、不審に思って尋ねると、


笹田の家は飽きたから、斉藤へいくよと答えた。


程なく笹田は落ちぶれて、斉藤はめきめき良くなった。


そんなのが「ざしき童」だと書いてます。


飢きんが続いたみちのくでは、一戸あたりの人数が決められていて、それ以上の子供は生まれてすぐ、山に捨てられた時代があったそうです。


仙台藩の「間引きを戒める絵」などが残されていますから、公の指示ではなく、村人が窮乏の中、生存するために取り決めたものなのかもしれません。


ざしき童や、桑の棒に布を幾重にも下げた人形「おしら様」は、そんな子供が生まれ変わって現れたとも言われています。


・・・・考えてみると、日本の長い歴史の中で、私たちはずいぶん恵まれた時代に生まれたんですね。


「ざしき童」のためにも、この幸せは、守っていかなくてはなりませんね。