スジナシの本編。
打ち合わせなしのぶっつけ本番、鶴瓶さんの衣装もお客様が決め、ゲストの衣装は本人が決め、スタートポジションは照明さんが決めるという、全く先が読めない新感覚のバラエティ。
ただ、決まっているのは、
「人気のない階段」だけ。

そこで、樹里さんが選んだのは「影」の役だった。正直、びっくりした。
鶴瓶さんじゃなくても、びっくりするよ、これ。
私は樹里さんに失礼ながら、こういう即興芝居は舞台自体やった事ないのだから、わけわからなくなって当たり前で、話になるのか?と、ハラハラしながら手に汗握りながら見ていた。
ここで、頭を下げます。ごめんなさい
m(._.)m 私の浅はかな心配は杞憂となり、終わってみたら私の樹里さんの作品で三本の指に入るお気に入りになったと思う。 それだけ、見応えのある即興劇だった。
ので、このスジナシに関しては何回かに分けて書いていきたい。
まず、今日は、樹里さんが何故、影を選んだか。
一度目を見た時は、ハラハラ感も手伝ってか探りながらみていて良くできてるなぁという事と、その2人の駆け引きの面白さから引き込まれるように魅入ってしまってた。
それが、二度目を見た時は何だか、心の奥がキュンとくるような、樹里さんの内面が時より見えるような気がして、切ない気持ちになってしまった。

樹里さんが好きなジャンルで必ず言われるのがファンタジーの世界。
絵本もよく読まれるし、ジブリ作品もディズニーも好き。
以前、どんな役をやってみたいか?
の答えが人間以外のもの。と答えたこともあったと思う。
これは私の思い込みかもしれないが、
樹里さんのファンタジーが好きというのは、幼少時代の寂しさ、悲しみから救ってくれるものとして捉えていたんじゃないかと思った。
先日紹介した「カーテンコール」の槇原敬之さん。私が彼のどこに惹かれたかというと、繊細な感情を人のせいにせず、自分の力で気づき乗り越えていく姿を分かりやすい歌詞と音楽で発信してくれてるところだった。
その槇原さんの音楽の源は、孤独で寂しい少年時代だったという。
ひとりっ子でご両親が事業をされてあるので休みなく、ほっておかれていたという。 感受性が強い少年は従兄弟のローリーからも色んな音楽を聴き、運命の出会いを果たすようになる。NHKの坂本龍一さんの番組で認められる事に。 それが、音楽の道に本格的に進むきっかけだったのだ。

影を演じる樹里さん。鶴瓶さん相手に物怖じせず、はじめは硬かった芝居が次第にのびのびと自由に動き回るようになっていく。
私は樹里さん演じる影が突飛な行動や発言をする度に、この人はどこまで、自分の本心をわかってくれるやろうか?と、心の奥で思いながら演じているように思った。
ぜんぜん、さみしくないよ、平気だよ。と、強気で振舞っているようにしか見えなかったなぁ。同情なんかは絶対に嫌だ!とか。
こうやって、樹里さんの芝居には、本人は意識しているか、いないかはわからないけれど、昔感じた哀しみや憂いや切なさを笑いの中からそっともってくる。 こんな斜め上をいく発想、芝居を出来る人はいないと思う。
正直に言うと、スジナシを見てから樹里さんはもしかして売れすぎて窮屈になっちゃったのかな?と思ってしまった。 だって、余りにも玄人受けするうまさと味がある芝居をしてくれるものだから。
笑わせておいて、最後は余韻が残るラストまで見せてくれるものだから。

影を演じる樹里さんはもしかして、本当の自分が言えない事を影に言わせてるって事はないかな。
そんな風に何度も見返す度に、即興なのにこの完成度の高さから見て、
樹里さんの役者としての嗅覚の鋭さ、頭がおそろしくきれる人である事がわかった。やっぱり、真面目で努力家の天賦の才能を持ってる人だ。
以前に、樹里さんの好きなところに硬派な点があるといったけれど、言い換えれば、口の硬さ、言葉の重さも好き。 江が終わった後、私が楽しむにしていたのはきっとどこかの雑誌でロングインタビューがあるはずだと信じてた。 それは、篤姫が終わった後の持ち上げられ方が半端なく、何千字にも及ぶ独占インタビューがのっていたから。 それが、全くなかった。
アミューズは出版もできる大手の事務所。 その気になれば、本だって出来るはずだし、あのバッシングを受けての本当の想い、とかつけると雑誌も売れたかもしれない。けど、しなかった。

江に出会って本当に良かった。
と、言い残してきりで。
どう頑張ったとか、どう苦労したとか、どう悩んだとか、どう辛かったとか言う事もなく。 おそらく、樹里さんにとってそれらの想いは芝居をする上で当たり前の事と捉えていたんだと思う。 終わった直後に、わざわざ口に出して言う事で作品の余韻が消えてしまう恐れだってある。
私はそんな樹里さんが好き。
未熟も反省も後悔も歓喜も成長も言葉に出さず、そのパワーを次の作品にのせて演じていくんだろうな。
言葉に出した方が楽に決まってるのにね。それをしないところもかっこいい。


スジナシでは、受けてたった鶴瓶さんのぽかんとした顔もツボだった。 普通の人では、まず切り返すのは困難だったと思う。
冒頭に、樹里さんへのインタビューで緊張してる?に、鶴瓶さんと一緒だから安心。の言葉から2人の関係性がでてるなぁ。

長くなりそうなので、今日はこれにて。 明日は、本編の内容に迫る予定です。 今日は、お客様と結成しているのだめ会で、映画「奈緒子」を観ます。
よって、スジナシの次は「奈緒子」です。長崎舞台の作品多いですね(^^)



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