母の日にはじめてカーネーションを近所の花屋に買いに行ったのは小学校3年生の時でした。
ポケットに300円を入れて、自慢の六段変速の自転車を飛ばす飛ばす。
なんだか男のくせに花屋に行くのが恥ずかしかったり、母にプレゼントするなんてはじめてのことだったりで同級生に見られたくなかったんだろうと思います。
陽が落ちだした夕暮れ、店先のカーネーションもだいぶ売れて残り少なくなっていました。
あたりを見回してだれも知ってる人がいないのを確認して花屋に突進しました。
店内には大きな冷蔵庫がありひんやりとした空気のせいかガチガチに緊張していました。
「おばちゃん、カーネーションください」
「はい母の日用ね、450円です」
わたしはあっけにとられ、ポケットから取り出していた300円をぎゅっと握りしめました。
もちろんカーネーションの値段も知らないですし、母の日ということでぼったくり価格?のような気もします。
それでも店に入った以上何か買わないといけないと思っていたお子様だったので、あたりを見回し300円で買える花を探しました。
いろいろな種類の花が並ぶなか、値札だけを見て選ぶ奇妙な経験です。
「これください」
300円と価格が目に飛び込み、選んだのは黄色い花でした。
「菊ね、一束300円です」
言われたことに反応するロボットのように、すぐに手を出してお金を渡しました。
このときはきっとなぜ菊なのか、本当に菊でいいのかなんて考えもせず早くこの場から立ち去りたかったのでしょう。
花を受け取ると急いで店から飛び出し、自転車に乗ってさっさと走り去りました。
その2へ続く
母の日の贈り物に手紙を添えて
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