籐くんに出会った頃のわたしは、万年筆について何一つ知らなかった。

中学校の入学祝いに祖母にいただいたパーカー社の万年筆が、唯一今まで触った記憶がある。

2,3回使ったと思うが、子供だったわたしにとって、それはあまり興味のないおもちゃでしかなかった。

学校の授業では鉛筆を使い、間違ったことは消しゴムでノートから文字を抹消していた。

今思えば、万年筆やボールペンで書いた、消すことができないノートの方が、きっと素晴らしいノートであったに違いないと感じている。

はじめて会ってミーティングした居酒屋で、目の前に並んだのは20本ぐらいの形の違う万年筆だった。

細身のピンクの万年筆からゴールドの金属製の万年筆までバリエーションは豊富で、わたしたちはこの中からはじめの1本をイメージし、カラー等のデザインを創り上げる。

もちろん予算があれば何十種類と同時に発売することも可能だ。

しかしわたしたちに許されたラインナップは1本だけ。

それがこれからコンセプトと照らし合わせて選ぶことになる「デコペン」である。