「子連れ狼」第8話 (1973) | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

「干城殺陣」



さてさて、私の中でレトロ男子一番手の根上さんが地蔵玄蕃役でゲスト出演の

「子連れ狼」の記録です。



叢から拝一刀を狙う怪しげな一行が出現…

そこに玄蕃も顔を出した。険しい顔つきでさっと現れた玄蕃。

また悪者かと思ったが、雰囲気がどうもそれっぽくない、精悍な感じ。

一行は次々と手を休めることなく拝を襲うが、慌てることなくかわしていく拝…

狼牙棒を両断したのを見て、はっと驚く玄蕃。

敵の首に刀がかかった。「待たれ! 拝殿!」



古小屋にて…

「狼牙棒を両断するとは…

大枚払って購おうとしている刺客の腕を試してみたいと思った我らの気持ちを

察していただきたい。非礼は重々お詫びを致す…」

命申し受けるその人の名は? と拝。

「若年寄久世山城守、及びそれに従う者全て、さらに黒鍬者」

黒鍬者?

「いかにも。ご公儀隠密の黒鍬者。

我らが磐城平藩3万石の浮沈に関わる大事でござる。

陸奥深川にご公儀の砂金採取場があり、

その砂金は常々奥州街道を通って江戸金座に運ばれる。

されば奥州街道を外れたところにあるわが藩は関わり合いもなかった。

然るに本年は道筋を変えて、我が磐城平藩領内を通るとのお達し。

そのわけは、病臥中の我らが藩主を見舞うとか。

しかしながら、藩主の病は見舞うほどのものにではなく、

深川の砂金を運搬するに若年寄が就くなどということも異例。

何もかも異例。とすれば公儀の魂胆はただ一つ。

我が領内にて不法を起こし、若年寄撃ったる者あり、

警護怠ったる磐城平藩の不行届き、磐城平藩はお取りつぶし…

若年寄の一行が我が磐城平藩に入る前に、斬っていただきたい。

一人残らず」

拝の返答を待つ玄蕃は、ぐっと息を呑んだ。

黒鍬者と申されたな?

「さよう。我が領内にて若年寄の行列を襲い、騒ぎを起こす役目は

ご公儀隠密の黒鍬者。

幕閣のこの陰謀に加担する者全てを倒し、証拠を隠滅していただきたい」

しかしながら~と拝は続けた。この企てに失敗しても、

第二第三と仕掛けてきて、いずれかわし切れず藩はお取りつぶしになる。

無駄なあがきでは?と拝。

「一刀殿。干城という言葉をご存知か?」  干は楯、と拝。

「いかにも干は楯。城を守る楯。

行く先は落城と分かっていても武士たる者、

楯を見捨てて城の堕ちるをむざむざと見ているわけにはまいらん。

城を枕に討ち死するが道と申すものでありましょう」

堕ちると知って、死を選ばれるのか?

「いかにも」 

玄蕃の強い意思を知った拝は、お引き受け申す、と述べた。

そんな拝に、玄蕃は深々と頭を下げるのだった。



黒鍬者たちは、磐城平藩に近づいた若年寄に文書を渡して…

見回りの藩役人たちを殺して、領内に入った。



崖の上に立つ玄蕃と拝。

「久世山城守の一行は我が磐城平藩に入る前、必ずこの明神河原を通る。

一人残らず斬っていただきたい…」 と玄蕃。

明神河原にて、拝は策を練った…



さて、一行が近づいてきて…

箱車の大五郎を残して、拝の姿が見えない。

後ろの物陰で見届ける玄蕃、

「一刀はどこへ行った?ここまで来てしまえば間もなく磐城平藩だ。

あいつ一体どういうつもりだ?」

眉間に皺を寄せながら、後ろの配下にぶちまける…

そのときだ、拝が馬に乗ってやって来たのは。

馬に積んだ油を、一行の周りに撒いて火を放って…

「干城殺陣…」 それを目にした玄蕃がつぶやく。

拝は次々に斬っていった。 「干城殺陣…」

~城を守る楯である兵を誘い出し、火を放って城を焼く。

仕掛けるものは我が身を死地に置いて敵を殲滅する必死の作戦である~

山城守一行を見事に倒した拝は、山城守の陣笠を馬にくくりつけ、

その馬を解き放った…

拝に近寄った玄蕃、

「拝殿。山城守の紋所のある陣笠を磐城平に走らせるなどもってのほか!」

出るな! と拝。干城殺陣はまだ終わってはおらん。

「しかし今度は黒鍬者。されば我らも!」

羽織の紐をほどいて脱ぎ捨てようとする玄蕃に、

拝は、黒鍬者をも皆殺しにせよと命じたのではなかったか?

お手前方は城を守る楯であろう。立ち去れい! と命じた。

…黒鍬者がやって来て、拝を鎖でぐるぐる巻きにするが、拝の方が強かった。



傷つき疲れ果てた「ちゃん」のために

大五郎はお墓のお供え物の握り飯をじっとにらんでいた。

そこで、ふみ(愛と誠・完結編にて根上さんの奥さん役だった)

という女性と知り合い、拝親子は世話になる。

平穏な日々が幾日が過ぎたある日、ふみたちと村祭りに出かけた大五郎が

黒鍬の同輩・常平たちに連れ去られた。

後陣?崖で火あぶりの刑にするという文を受け取った拝は、

場所を聞くために、玄蕃の邸を訪れた。



「卑劣な!黒鍬ども、事もあろうに罪なき子供を人質に連れ去るとは…

元はと言えば我らがお願い申したことがこの災いの元。

ご恩返しと申すのもおこがましいが、何なりと申されよ」 と玄蕃。

いや、土地不案内で刻限も迫っておりますれば、

だた後陣崖に至る道をお教え願いたい と拝。

「いや、後陣崖と申すところは、地理不案内の御仁には近寄れまい。

拝殿、我らにお任せくだされ。磐城平一藩を挙げてご援助つかまつる。

我が藩のために命を賭けて下された貴殿に報いる。

それがせめてもの心でござる」

だが、これも我ら親子の私事、と断る拝であった。



そして、玄蕃が拝を案内した。

崖の上から覗いて、

「あれが後陣崖です。あれへ参るには道はただ一本しかござらん」

火あぶりの処刑場が見えて、小屋から大五郎がそこへと連れ出された。

その様子を心配そうに見つめる拝と玄蕃。

「ここは立てこもるに良く、背水の陣をしけば一人で百人に当たることが出来る。

それゆえ後陣崖の名がある。

我が藩にお任せくだされ。

ここは鉄砲隊を繰り出し、敵に近づかず一気に攻めるしかござらん」

だが、大五郎は「ちゃん」が助けに来ると信じているのだ。

あのたいまつを一つ投げ込まれたら、大五郎の命は終わる…と拝。

「拝殿…」 一か八か…と拝はつぶやいた。

拝の意思を汲み取った玄蕃は、ただただこの男の無事を祈った。



箱車を押して、崖の後方から登ってきた拝を見て、

敵は箱車をこっちへよこせと命じた。

丸腰になった拝だが、隠し持っていた小刀を箱車に向かって投げたら、

箱車の正面の扉が開いて、いきなりババババババ~ン、

え~って思った、まさか?この時代に機関銃?

こんなんあったん?

敵は一網打尽にやられてひとたまりもなかった。

大五郎は「ちゃん」によって無事救出、2人はまた旅を続ける…



初めて見た「子連れ狼」だったが、

まず「ちゃん」のヘビー級の強さにびっくり。

刀さばきも身のこなしも力も全てにおいて、大きく力強くて…

今まで見てきた殺陣がすごかったヒーローって、

天知のだんなとか杉さんの暁蘭之介とか、

どちらかと言うと、キャラは女にもてて腕も立ってというタイプだったので、

私にとってはこの男っぽ~い「ちゃん」は、とても異色な存在でした。



で、根上さんの地蔵玄蕃です。

武士なので、私には彼が総髪というのがちょっと意外だったけど、

これがなんか似合ってた。月代よりこっちの方が好きかも、私は。

それにこの玄蕃というキャラにもこの総髪が合ってるように思う。

私の中では、根上さんって殺陣をするイメージはあまりないのですが、

羽織のひもをほどいたときは、一瞬まさか~っ?と思いましたよ。

もちろん拝殿が止めたけど。

でも、伊吹隊長の名残が楽しめる玄蕃だったと思う。

重厚感たっぷりの渋~い口調で、

忠義心が強くて、まっすぐで、冷静さと熱さを兼ね備えて、頭も切れて…

最初の出会いで小屋の中で拝と会談しているとき、

ろうそくの火がゆらめいて、

真摯な瞳でぐっと見つめる玄蕃の表情が美しく映えていました。

やっぱり男前! アップになるたびに興奮しまくりでしたわ~



次は何を見ようかな?ファミ劇で伊吹隊長?「家庭の事情」も楽しみやな。