「眠狂四郎」 第19話 | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

「魔性の女に男が哭く」



北海道へ行く前の25日に、時代劇専門チャンネルで録っていたこの作品。

出発する前にちょっとでも見ておきたいと、駆け足で見たんだけど、

痛快アクションものとばかり思っていたのが、

何?この陰鬱なムードは?

内容もかなり難解で、こりゃ一度見ただけでは理解不能と、

戻ってきてもう一度見直した。



最初に出てきたのが、甚内という一見風采の上がらないお侍さん。

これは根上さんじゃないなと。

でもこの目のくぼみ、頬のこけ方、ちょっと粘りのある喋り方。

私この人知っている、誰だろう、誰だっけ?と頭の中をぐるぐる。

冒頭のキャスト表は、「根上淳」だけしか記憶にない。

う~ん、そしたらふとひらめいた。

そう黄門さまだ~!わおっ、意外なところで出てらしたのね。

で、この黄門さま、ご家老の命により、早馬で江戸から駆けて来る侍を斬った。

斬られた侍は密書を放り投げ、倒れこんだ。

放り投げられた密書は甚内が拾って家老の配下に渡した。

事の成り行きを始終見ていた狂四郎が、

侍にとどめを刺そうとする配下を蹴散らしたあと、

侍は息絶える前に、妹への贈り物の包みを狂四郎に託す。

中身は手絡。ふと広げたら「下屋敷に病臥中の殿は偽者」との文章が。

包みなおした狂四郎は、

直前に知り合った阿波人形一座の娘・お吉に手絡を預ける。

お吉が斬られた侍・田所の妹と知り合いだったから。



さて、白紙の密書をつかまされた江戸家老・堀田は怒った。

そして配下の者たちが甚内を連れて、人形一座に押し入る。

お吉の髪につけられた手絡をそれと勘違いした配下が、

髪の手絡を奪って退散。そのときお吉は手傷を負ってしまう。

甚内が代わりに謝るが、その際田所が託した手絡を見つける。

これか…とその本物を奪って、その場を去った甚内だが、

あとから追いかけてきた狂四郎に手絡を奪われてしまった。



人形一座にお吉の見舞いに訪れた狂四郎は、

主人から阿波藩のお世継ぎ問題を聞かされ…

阿波守には子どもはなく、

城代家老・稲田八郎右衛門は殿のご舎弟を立てようとし、

江戸家老・掘田は自分の傀儡になれる将軍の吾子・菊松君を

世継ぎに立てようとしているとのこと。



狂四郎は、臥せっているという阿波守のいる下屋敷に忍び込む。

が、そこにいたのは真っ赤な偽者。

憤った狂四郎は、阿波一座には手を出すなと言い残して出て行った。

これを知った江戸家老は、甚内に狂四郎を斬らせるよう配下に命ずる。



再び阿波一座には狂四郎の姿が。

ふとこっちを向いて慌てた様子の主人。う?と思っていたら、

きらびやかな袴が見えたわよ。

「ごめん」 のれんをくぐって入ってきたその声はまさに根上さんラブラブ

お待ちしてました~ここまで。いつ出てくるのかと首を長くして。

主人は、これはご城代さま…ははあとひれ伏した。

背中を向けたままの狂四郎に、ご城代は話しかけた。

「阿波藩城代家老、稲田八郎右衛門でござる。

お手前が狂四郎どのか?」 それには答えず狂四郎は問うた。

江戸にはいつ? 「昨日」

ではあの田所という男、囮だったのか?

「ごけいあん、その通りでござる。

密書の内容は一月も前から御共の元へ。

ただ江戸へ参るのを気づかれてはやっかいゆえ、一芝居かかせ申した」

あの男、それを承知していたのか? 「いいや」

あわれな男だ… 「さよう。誠にかわいそうなことを致した。

まさか斬るとは思わなかったのでな… 

ここへ参ったのは、侘びと見舞いのためでござるよ。

昨夜、下屋敷に入れてある者から詳しく事情は聞き申した。

藩内の争いを外に持ち出したことは誠に申し訳ないと思っている。

許され」 と頭を下げるご城代。

田所という男の妹にお渡し願いたい。

囮とも知らずに命を賭けて守った密書だ。

冷ややかにつぶやく狂四郎から赤い手絡を恐る恐る受け取るご城代だった。



それを覗き見していた甚内、早速、江戸家老・堀田に報告。

そこへご城代がやってきた。

「入るぞ~」

稲田殿、ご公儀及び殿のお許しもなく国元を離れるとは何事でござる。

それでご城代の役が務まると思し召すか?

「ふふふっ」と不敵な笑みを浮かべるご城代…

「堀田。ご病中の殿のお許しをどうやって得られる?

そちが握りつぶすのは分かっていながらだ。

ご公儀のお許しはすでに得ておる。殿ご重体につきお世継ぎの件にて、

急遽しっぷする旨、ご老中水野越前守さまに届け済みじゃ」

「その上、ご舎弟さまをお世継ぎにお立て申すことについても、

すでにご内意を得ておる」

ばかな。お世継ぎは将軍家の吾子・菊松君をとすでにそれがしの口より…

「菊松君は御歳12歳にしてなお終日よだれの垂れ流しと言うぞ。

そのような方を殿のお世継ぎにして、おぬし何をする気だ?

阿波25万石を天下の笑いものに致す気か?」

しばらく。殿のお許しもなくご舎弟をお世継ぎにとは、

いかにご城代とは申せ、越権の沙汰でござる」

「あいにくだったな。ご舎弟さまをお世継ぎとしてお立て申すことについての

お墨付きはすでに半年も前からいただいておる」 沈む堀田…

「おぬしの策はすでに敗れた。進退おのずから明白であろう」

こう言い放ってその場を立ち去ろうとするご城代に、

待たれ。ご城代にはまだご存じないことがござる。

いぶかしげに振り返るご城代…



なにやら不穏な気配を感じた甚内は、狂四郎に江戸を去るよう助言する。



一方、ご城代は…

「わしに見せようというのは殿の御亡骸か?う?どうせそんなところだろう」

とニヤリ。

「お世継ぎも決まらぬまま殿がにわかにお隠れになり

おぬしが急遽偽者を仕立てたのは分かる。機敏の処置とほめてもよい。

だがこの上のばんちゃくは許さん。よいな」と堀田を睨むご城代。

しかし…長い廊下のその向こうには檻があり、

その中には幼児化された殿の変わり果てた姿が…

「殿~!」 愕然とするご城代…「いつから殿はこのように…」

三月前でござる。別におつむを打たれたご様子もなしに突然…

医師にもすでに見せましたが、もはや回復は不可能ということ。

このことがもしご公儀に知れれば…

蜂須賀家はありますまい。ご舎弟の君にも

ひょっとすれば同じ呪われた血が流れているやもしれません。

それゆえにそれがしが菊松君を…

「だまらっしゃい。

狂気の血の代わりに痴呆の血を連れてきて何になる?

ここはご舎弟さまを立てて然る後然るべきところからご養子を迎えるのが…

他に手はあるまい。

しかし…眠狂四郎なる浪人、このことを知っておるのか?」

それは存じませんがあるいは…稲田殿。

「やむを得ん。斬らねばなるまい。眠もその周りの者もな」

心得ました。

「なお、田所を討った者を討て。これだけはせんと、そちを罰せねばならん。

よいな、堀田」

苦渋の決断を下してご城代はその場を去った。

そして刺客として甚内の友であり鉄砲の使い手の一平に白羽の矢が立つ。



人形一座はお吉を残して、皆殺しにされた。



ご城代は1人、赤い手絡を思い詰めた表情で見つめている。

そしてふと声を上げた。

「誰かある。眠狂四郎は今どこにおる?」

「狂四郎に会いたい。話がある」



一方、堀田の配下・長池に呼び出された甚内は、

一平に撃たれるも狂四郎の助けが入った。

稲田八郎右衛門もただの武士だったようだ。

お互い見通しが甘かったようだな…と狂四郎はつぶやく。

自分の欲のために人を斬り人を斬らせ、もう我慢ならん。

今まで生きる屍のようだった甚内が、怒りの炎をたぎらせた。

そのまま自宅へ流れ込む。

そこではいつものように、妻が家老・堀田といちゃいちゃ…

家老は自分の情婦を甚内の妻に仕立てていたのだ。

ついに妻を斬り、家老も斬った陣内。

自らも腹を切ろうとするところを狂四郎がとめた。

急ぐな。阿波藩の思うつぼにはまることはない。



稲田は甚内の家の前にいた。

甚内とともに家から出てきた狂四郎に声をかける稲田。

「眠殿。ご家督のことさえ滞りなくあい済めば、それがしの役は終わる。

それまでは何分当阿波藩の件はご内分に。

今しばらく、しばらくのご猶予を賜りたい」と頭を下げた稲田。

無言で立ち去る狂四郎を、悲痛な表情で見送るのであった。



最後に死ぬなと言い残し、甚内と別れた狂四郎だった。



根上さんのご城代を中心に振り返りましたが、

この作品72年のものなので、たぶん伊吹隊長のあとくらいかな?

とにかく若い!

ここ最近というかテレビドラマではどうしても50代以上のことが多いので、

久々だった、真っ黒な鬘の根上さんは。

60年の芹沢鴨を彷彿される色気と

伊吹隊長を連想させる毅然とした眼差しと重厚さを兼ね備えた、

貫禄たっぷりのご家老さまは、予想以上に美形で、

私は一目で好きになってしまいました恋の矢

ご城代にはこれからどんな余生が待っているのか、

平穏無事に終えられたことを祈るばかりなんだけど。

それにしても、

根上さんはこういうえらいさん的役にはぴったりはまっていますね~

真摯に頭を下げる様子にも心うたれたし、

ニヤリと勝ち誇ったような表情は相変わらずセクシーだし、

番組の真ん中辺りからの登場だったけど、

根上さん独特の気品たっぷりの存在感を十分魅せてくれたわ~

私、タイトルにある「男」が根上さんだったらどうしよう…と

そわそわしていたのですが、それは江戸家老か甚内だったというわけですな。

ちょっと残念?

まあ正義感の強い役柄のイメージがあるので、

なかなかそういう作品に出会えるのは少ないのかもね~



8月もまたCSがにぎやかなのです。

日本映画専門チャンネルでのレトロな作品やら

ファミ劇での江戸川乱歩シリーズなどなど。

江戸川乱歩シリーズ、天知さんのはレンタル可能だけど、

赤い乗馬服と神戸六甲はまだ未見なので楽しみ~

と思っていたら、早速3日にBS日テレ18時から「取調室6」が~音譜

97年の作品ってまたおじいちゃんな根上さんなのかしら…

まあ楽しみにしておこっと。