部屋に戻り
ポスン…
ソファーに身体を投げ出す。
はぁ…
『終わった』
ずっと心に引っかかったまんま
なかなか言えずにいた『さよなら』
だから、
『さよなら』を言えて
これで良かったハズなのに…
『終わった』
そぅ口にしたとたん
じわじわ喪失感が襲ってくる。
も、やめよ
あの人のコト考えんの。
ゲームでもして気を紛らすか……
ゴロンと横向きになったまんま
ゲームソフトを並べてる棚に
ぼんやり視線を移すと
スケッチブック。
オレのゲームソフト用の棚に
おーのさんのスケッチブックが
ちゃっかり並べられている。
呼ばれるよぅに
ふらふら立ち上がり
近づくと
そのスケッチブックは
「ずっと前から居ましたけどナニか?」って
その場に図々しくも馴染んでいる。
いつから… あったんだろ
気づかなかった。
躊躇いつつ
手に取り
ページを ゆっくりめくる。
鉛筆で描かれてるのは
ベランダから空を眺め
見つけた
おもしろい形の雲。
部屋の片隅に置いてる
観葉植物の葉っぱ。
壁に掛かってる
まあるい形の壁時計。
ソファーの上
二つ並んだクッション。
ふっ…
『こんなモノまで…』
オレがゲームする時にかけてる
メガネまでスケッチしてる…
どれも…
おーのさんが
この部屋で見ていた日常の風景。
アナタ絵を描きながら
オレの帰りを…
待ってたんですか?
胸の奥…
熱く込み上げてくる感情の塊を
飲みこんで、
スケッチブックを閉じる。
『これ返さないとね………
!?
…ちょっと待て、ちょっと待てぃ?!!』
なにコレ、!!?
下段の棚…ゲーム攻略本の隣り
ずらり毎号No.ごと綺麗に並ぶ
「月刊釣り人」って !!
あまりに自然に置かれすぎて…
おーののヤツ…
オレが忙しくて気づかないのを良い事に
着々と私物化してやがったなッ!
いぃ機会。
あの人の痕跡を消そ。
ルールはひとつ。
感傷に浸らない。
ナニも考えない。
大きめのトートバッグいっぱいに
スケッチブックと釣り雑誌を詰めこみ
これは明日マネージャーから
おーのさんへ返してもらう。
『よし、次!』
キッチンへ向かい
おーのさんのお箸、お茶碗…
そして、
気にいって使ってた
コーヒーマグ。
まとめて全部食器棚の
普段は使わない引き出し…一番奥に押し込む
『よし、…次!』
バスルーム…
いつも朝
ボーっとしながら歯磨いてた。
二つ仲良く並んだ歯ブラシ。
おーのさんの分は…
…捨てよ。
あぁ、あとコレも!
元々はオレのだけど
あの人が泊まる時に使う部屋着。
いつの間にか
…勝手に着てるんだもん。
これは …クローゼット行き。
おーのさんの
抜け殻をごそごそ集めて
『なんだよ、けっこーあるな…』
オレの貸してた
パーカーやスエット、タオルを抱えて
『…よし、もーないよね!』
クローゼットに向かう
扉を開いて
収納ケースに入れてある
着ないけど…捨てられない
昔しお揃いで買ったロンTなんかが
入ってるグループ…そこに閉まう。
これで、
あ の人を 連 想 させる
愛 お し ぃ モ ノ 達 は な に も 無 い 。
『あーっ、スッキリした…
めちゃくちゃ片付いたし』
大きな独り言を呟き
むりくり虚勢を張ってみる。
ほっと
一息ついたら…
急に寒くなってきた。
裸足でぺたぺた歩き回って
身体が冷えたかも…
『 …さむっ
ヤベ、風邪引きそ。』
ついでに
冬物の上着でも出すか…
冬物グループ
収納ケースの蓋を開く
…だからあの時
『 いらねぇ…。』
って、言ったでしょ?
『ごめんね。
も、出番ないんだ』
色違い
お揃いのちゃんちゃんこ。
去年の冬…
おーのさんが買ってきたんだ。
すごく… アナタが
うれしそぅで…
予期せず
少し照れくさそぅに話す
おーのさんの想いが
うれしくて…
あの日
一瞬だったけど
二人で幸せな夢を見た。
パタ。
ケースの蓋を閉じ
『冬物 …まだいーや』
~
ヽ(′•∀•`)ハヤク カエッテコネーカナ…つづく。






