仕事が終わり
帰りの身支度を終えた おーのさんに
人と会う約束まで
まだ時間があるから…
オレは楽屋で時間をつぶすね。
って別れ…
行き先きまで
送ると言うマネジャーにも
迎えが来るから大丈夫!
嘘をついて…
そして、
オレは
ひとりになった。

「 いつか…
あんな家族になりたい。』
りんたろー 家族を微笑みながら見つめる
おーのさんの横顔が やさしくって…
やめて、
そんな言葉
聞きたくなんてなかった…
ずっと、目をそらし
ずっと…こわくて聞けなかった
おーのさんの望む未來を
こんな形で知ることになるなんて…
嘘偽りない
おーのさんの何気ない言葉の棘が
胸に深く刺さったまんま…
苦しくって、
知らなければ…
傍にいられたのに…
苦しくって、
どーしょ………………

……………………………どーしょ…
頭がまわんない…
『 どーしょ…』
心の声を口に出したら
喉までせりあがって来た、
熱い塊りが、、、
飲みこめなくって、……
ダメ、
目の前がぼやけて…
ポタリ。
『…ふっ、っ…やだ……おーのさんッ…』
何かが堰を切った
廊下をパタパタ走るスタッフの足音に
我にかえり
『 かえんなきゃ…』
いつまでも ここに居るわけにいかない
キャップを目深にかぶり楽屋を出る。
すれ違うスタッフにオレだと
気づかれないように
立ち止まるな…
足元に視線を落とし足早に
エスカレーターに向かう。
誰かに呼ばれたような気がしたけど
立ち止まるな、
今、立ち止まったら…
壊れてしまう。
タイミングよく
上がって来たエスカレーターに
乗り込もうとした瞬間
グイッ!!
『 !!?』
「 姫ッ! …さっきから呼んでるのに」
腕を引かれ
思わず顔を上げてしまった。
「…姫 、どーしたの?
目が……まっか 泣いて…たの?」
林田が驚いてオレの顔を覗きこむ
掴まれてる腕を振りほどき無視して
エスカレーターに乗り込むと
何故か一緒に飛び乗る林田。
ドアが閉まりエスカレーターが
ゆっくり降りてく…
「 ……体調わるい?」
話しかけないで…
うつ向くオレに
やさしい声で林田が問うけど…
答えらんない。
なぜか
ふと、
思い出し…
『… あの人達は… どーなったの?』
オレの唐突な問に
「 あの人達?」
林田がきょとんとする。
『 前にオレに相談してた… カップル…』
「 あぁ……
姫の言ってた…その通りだった。」
『え?』
心が凍りつく…
まさか…
「…… 別れた、って。

『彼の未來を考えたら…
自分が身を引いた方が
大切な人が幸せになれる。
…彼が幸せなら それが自分の幸せだから』
って、言ってた。 」
『 そぅ。』

エスカレーターが着いてドアが開く
「 今日は敏腕マネジャーは?」
もー………
何も話したくない………
ふるふる頭を振ると
林田がオレの手を引いて
関係者専用の出入り口…
タクシーを捕まえ運転手に
「 すみません、
この人、具合が悪いんで
ゆっくり丁重に…早く送ってやって下さい」
めちゃくちゃな注文をつけて
オレをタクシーに押し込んだ。
ドアが閉まる瞬間
手をぎゅっ、キツく握られ
「 相談とか…
………用がなくても、
いつでも電話して?」
カエル(.´゚н゚)…
つづく。