中国に、使い捨てられた「EV墓場」が次々に生まれる「深刻なワケ」

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マイトレーヤ・ラエルは一貫して現在のEVには否定的です。

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「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」…!中国に使い捨てられた「EV墓場」が次々に生まれる「深刻なワケ」

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現代ビジネス

中国にまたEV墓場が生まれる…

photo by gettyimages

 

 満身創痍の中国経済にとってEVは頼みの綱だが、その勢いにかげりが見え始めている。  

 

前編『中国EVの「弱点」が発覚して販売台数が激減…! 

 

国民の不満を映す「中国版お年玉」の寒すぎる事情』で紹介したように、205万台にとどまり前月比14%も減少した。その主要因がEV販売台数の低迷で、前月比47%減の40万台と大幅に減少したのだ。

 

その理由として挙げられているのは、1月に襲来した大寒波の影響だ。  

 

1月には中国北部で氷点下がつづいたが、厳しい気象条件では走行距離の限られるEVは、敬遠されたようだ。一部のEVが凍結した路面に適していない設計になっていたことも消費者の購買意欲を低下させたと言われている。  

 

業界関係者は「冬の寒さの影響が薄らぐ3月以降は販売台数が回復する」と楽観視しているが、はたしてそうだろうか。  

 

現場の販売担当者が「スマートフォンのようにEVを買い替える若い消費者が続々と来店する」と指摘しているように、中国ではZ世代がブームの中心にいる。  

 

このため、中国のEVはスマホのように頻繁にモデルチェンジを繰り返すようになっており、その結果、使い捨てられたEVの「墓場」が各地で出現している。このような状況を踏まえ、中国の専門家は「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」と危惧を抱くようになっている。

春節大移動で「中国EV」の弱点が見つかった!

 実際の購入者からも「EVには優遇措置があるが、ガソリン車と比べてメンテナンスコストが依然として高い。3年以内はEVを選ぶな」などの厳しいコメントが相次いでいた(1月18日付RecordChina)。 

 

 「弱り目に祟り目」ではないが、EVへの逆風は春節期間中にさらに強まった。  

 

高速道路の通行が無料になったため、節約意識を強める多くの中国人がEVでの移動を選択したことにより、EVの脆弱性が一気に露呈してしまったのだ。 

 

 「帰省中に6回の充電のために8時間を費やす」などのトラブルが頻発し、「そもそもEVを買うべきだったのか」との不満がネット上を埋め尽くした。

 

春節期間中に「EVの問題発生件数はガソリン車よりも40%多かった」との衝撃的な調査結果も公表されている(2月13日付RecordChina)。

 

国民の不満の矛先は「台湾」へ

北京の天安門広場を警護する人民解放軍の儀仗兵 Photo/gettyimages

 

 「EVは環境に優しい」との認識から中国で一大ブームが巻き起こったが、「不都合な真実」が次々と明るみになっている今、逆風はさらに強まることだろう。  

 

「頼みの綱」のEVが失速するような事態となれば、中国経済は総崩れだ。中国人の経済面でのプライドは粉々になってしまう可能性は排除できなくなっている。  

 

気がかりなのは、バブル崩壊後の日本で排外主義的な傾向が強まったように、現在の中国でも「海外の敵」を日々の不満のはけ口にしようとする動きが出ていることだ。  

 

1月13日の台湾総統選挙で中国が「独立派」と敵視する民進党政権の続投が決まったことを受けて、中国の人々の間で「台湾の武力統一」を早期に求める声が広がっている(1月18日付時事通信)。  

 

習近平指導部が軍内部の汚職摘発を優先課題としていることもあって、中国軍による台湾への上陸作戦は現時点では不可能だとの見方が一般的だ。  

 

中国政府も過激な世論の沈静化に努めているとみられていたが、ある「異変」が春節特別番組で起きていた。

火に油を注ぐ「排外的愛国主義」

 春節特別番組とは、中国中央テレビ(CCTV)が毎年放映している「春節連歓晩会」。

1983年から放映されている国民的娯楽番組で「中国版の紅白歌合戦」といっていいだろう。  

 

9日に放映されたこの番組に、春節特別番組の舞台に人民解放軍第66477機甲部隊の将兵が小銃を持って登場し、ミサイルの一斉射撃などの画像を背景に軍歌を合唱したのだ。42回目を迎えたこの番組に、中国軍の実戦部隊が登場したのは今回が初めてのことだという。  

 

「台湾を威嚇する政府の狙いがあった」とされているが、中国人のショービニズム(排外的愛国主義)の火に油を注いでしまったのではないかとの不安が頭をよぎる。  

 

「病める獅子」と化しつつある中国の動向について、細心の注意を払う必要性がますます高まっているのではないだろうか。  

 

さらに連載記事『習近平の大誤算…! 現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、トランプ復活が現実味を帯びる中、新たな火種となりかねない問題について詳しくお伝えする。

藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)

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