光る指先と緑色の目:中国で誕生した世界初のサルのキメラ

NEW!

テーマ:
公式ジャンル記事ランキング:
シニア369位

Rael Maitreya

光る指先と緑色の目:中国で誕生した世界初のサルのキメラのサムネイル画像

Glowing Fingertips And Green Eyes: First-of-Its-Kind Monkey Chimera Born in China

SCIENCEALERT.COM

Glowing Fingertips And Green Eyes: First-of-Its-Kind Monkey Chimera Born in China

光る指先と緑色の目:中国で誕生した世界初のサルのキメラ

 

 

 中国科学院などの研究チームが、一つの体に異なる遺伝情報をもつ細胞が混在する「キメラ」のサルを作ったと、米科学誌セルに発表した。ヒトに近いサルで病気を再現する動物実験や、絶滅危惧種の保全研究に役立てたいとしている。

 

 動物の体は、もともと一つの細胞からなる受精卵(胚(はい))が分割してできていくため、すべての細胞が同じ遺伝情報をもつ。 これに対し、キメラはギリシャ神話に出てくるライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾を持った怪獣に由来し、異なる遺伝情報をあわせもつ動物をさす。

 

 これまでネズミのキメラの作製は広くなされてきた。分割が進んだ胚の内部から細胞を取り出して作る胚性幹(ES)細胞を、別の胚の中に入れて作る。キメラ動物の作成は、ES細胞が生殖細胞を含むあらゆる組織の細胞に分化する「多能性」をもつことを証明する方法でもあった。

 

 研究チームはES細胞に、紫外線を当てると光るたんぱく質GFPを組み込み、サルの受精卵(胚)に注入して培養。40匹の代理母の子宮に移植し、12匹が妊娠した。

 

 全身にES細胞由来の細胞をもつサルが2匹できた。1匹は生まれ、1匹は流産した胎児。いずれもオスで、ES細胞が脳、心臓、腎臓、肝臓など全身の細胞に分化したことを確認した。精子になる細胞にも含まれていた。含まれるES細胞の割合は組織によって異なり、2~9割だった。

 

 サルでは、初期段階の胚をまぜてキメラにして代理母に戻して、生まれたという報告があるが、ES細胞由来のキメラで誕生したのは初だとしている。

 

 「サルの多能性幹細胞がすべての組織に分化すると証明できた」とチームのミゲル・エステバン教授は述べている。

 

 論文は米科学誌セル(https://cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(23)01087-5別ウインドウで開きます)に掲載された。

 

 

「キメラ」サル誕生 ES細胞使い中国科学院など:朝日新聞デジタル (asahi.com)