光る指先と緑色の目:中国で誕生した世界初のサルのキメラ
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Rael Maitreya
SCIENCEALERT.COM
Glowing Fingertips And Green Eyes: First-of-Its-Kind Monkey Chimera Born in China
光る指先と緑色の目:中国で誕生した世界初のサルのキメラ
中国科学院などの研究チームが、一つの体に異なる遺伝情報をもつ細胞が混在する「キメラ」のサルを作ったと、米科学誌セルに発表した。ヒトに近いサルで病気を再現する動物実験や、絶滅危惧種の保全研究に役立てたいとしている。
動物の体は、もともと一つの細胞からなる受精卵(胚(はい))が分割してできていくため、すべての細胞が同じ遺伝情報をもつ。 これに対し、キメラはギリシャ神話に出てくるライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾を持った怪獣に由来し、異なる遺伝情報をあわせもつ動物をさす。
これまでネズミのキメラの作製は広くなされてきた。分割が進んだ胚の内部から細胞を取り出して作る胚性幹(ES)細胞を、別の胚の中に入れて作る。キメラ動物の作成は、ES細胞が生殖細胞を含むあらゆる組織の細胞に分化する「多能性」をもつことを証明する方法でもあった。
研究チームはES細胞に、紫外線を当てると光るたんぱく質GFPを組み込み、サルの受精卵(胚)に注入して培養。40匹の代理母の子宮に移植し、12匹が妊娠した。
全身にES細胞由来の細胞をもつサルが2匹できた。1匹は生まれ、1匹は流産した胎児。いずれもオスで、ES細胞が脳、心臓、腎臓、肝臓など全身の細胞に分化したことを確認した。精子になる細胞にも含まれていた。含まれるES細胞の割合は組織によって異なり、2~9割だった。
サルでは、初期段階の胚をまぜてキメラにして代理母に戻して、生まれたという報告があるが、ES細胞由来のキメラで誕生したのは初だとしている。
「サルの多能性幹細胞がすべての組織に分化すると証明できた」とチームのミゲル・エステバン教授は述べている。
論文は米科学誌セル(https://cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(23)01087-5)に掲載された。
「キメラ」サル誕生 ES細胞使い中国科学院など:朝日新聞デジタル (asahi.com)