こんにちは、絶學無憂です。

 

前回パトリシア・キャラハン博士の「経絡タッピングとEFTの歴史」を翻訳してご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

 

あなただけのためのカスタム医療を実現するパワフルな手段としてキネシオロジーの筋肉反射テストがあり、TFTはこれを用いていわば「感情のためのカスタム医療」を実現していたわけです。しかし、誰でもすぐに筋肉反射テストをできるわけではない、ということからゲイリー・クレイグは意図的に筋肉反射テストのような診断技術の要素を排除して、誰でも画一的な手順に従って効果を得られるようにとEFTを開発したのだということです。

 

これを読んでいると、レイキの歴史的な経緯と被さって来ました。

 

私は西洋レイキ・ティーチャーの資格を持っていますが、レイキというのは元々漢字で「靈氣」(霊気ではない)と書かれており、日本発祥のヒーリング技術として海外ではかなりメジャーな存在になっています。例えば Oxford Advanced Learners Dictionary という初学者向けの英英辞典にも掲載されているくらいです。

 

reiki

noun

BrE /ˈreɪki/

 

[uncountable] (from Japanese)

a method of healing based on the idea that energy can be directed into a person’s body by touch

 

Word Origin

Japanese, literally ‘universal life energy’.

 

 

臼井甕男(うすいみかお)先生が鞍馬山で死を覚悟しての瞑想中に靈氣を授かったという神秘的なエピソードが知られています。戦前の日本には霊術と呼ばれる、神秘的な医療が多数存在していましたが、靈氣もそのひとつと捉えることができます。

 

当時は、気持ちが良くなるヒーリング技術というより、肉体的な症状を治療するための、西洋医学に取って代わるような代替医療として知られていました。臼井靈氣療法を学んだ、富田魁二先生の「富田流手あて療法」という戦前の本が復刻されていますが、これを読むとその治療実績には目を見張るものがあります。当時の医師が診断して病名の付いた患者を治療し、何名中何名が治療を完遂して完全に回復したということをが書いてあります。当時でも医師法があり、医師以外は治療行為をすると違法だったそうですが、この富田魁二先生のような方(医師ではない)はどのようにして治療院を営業していたのかも謎です。

 

日本国内の臼井靈氣療法は、戦前に一時は相当の広がりを見せていたとも伝えられていますが、戦後GHQによる非西洋医学の弾圧の影響を受け、ほとんど絶滅してしまいました(仁科まさき著「日本と霊気、そしてレイキ」)。これに対し、臼井先生の弟子、林忠次郎先生に学んだ、ハワイの日系人高田ハワヨさんが教えたレイキが元となって西洋レイキが欧米に広まり、実践者は推定で500万人以上と言われます。数十年の時を経て80年代にこの西洋レイキが日本へ逆輸入されたとき、国内の伝統靈氣の系統はすべて廃れたものと考えられていました。

 

しかし実は、本家の靈氣を伝承する臼井靈氣療法学会が非公開の組織として細々とかろうじて存続している他、林忠次郎の弟子、山口千代子さんとそのご家族が伝えてきた「直傳靈氣」の系統が戦前から続いていることが分かりました。現在は直傳靈氣だけが門戸を一般に開いており、林忠次郎次直伝の靈氣を今に伝えるとしています。

 

西洋レイキは、高田ハワヨさんが開発した12ポジションという方法が中心であり、頭から体の前面、背面と合計12箇所に順番に手を当てる、あるいは手を翳(かざ)すことで、誰でも効果が得られるとしています。このシンプルさと、一度アチューメント(靈氣を自在に受け取るようになるための儀式)を受ければ簡単に一生その恩恵に預かれるという点で人気を博して公称数百万人という実践者を獲得したのでしょう。

 

レイキ12ポジションを実際に受けてみると、たしかにとても心地よいものです。しかし、この方法で戦前の富田魁二先生のような治療実績を上げたという話を聞きません。実は、西洋レイキでは、おそらく意図的に、元々の伝統靈氣が持っていた重大な要素が省かれていることが、臼井霊気療法学会や直傳靈氣への取材によって明らかとなりました。それは西洋レイキを学んだ人でも多くの人がセミナーの途中で感じる、「手のピリピリ感」です。

 

国内の伝統靈氣ではこの感覚を重視し、靈氣を発する手を近づけると強いピリピリ感を感じる箇所を「病腺」と呼び、靈氣治療は専らこの病腺に対して行うものとされてきました。これは体の中のエネルギーの流れに滞りのある箇所に靈氣を発する手を近づけると、その箇所が靈氣を強く吸収するために靈氣の放出量が増えることで生じる感覚だと理解されます。アチューメントを受ければ誰でもすぐに手から靈氣を発することができるようになりますが(アチューメントを受けずともある程度発することができるものと思われます)、手の感覚に頼って病腺を見つける技術はある程度の訓練を必要とし、誰でもすぐにできるとは言えないという違いがあります。(と言いつつ、直傳靈氣のセミナーではほぼ受講者全員が期間中に病腺を手で感じることが出来るようになるようですから教え方次第かもしれません)

 

どんな人に対しても画一的に12ポジションに手を当てよ、という西洋レイキに対して、その人固有の症状を反映する病腺に対して集中的に靈氣治療を行えとする伝統靈氣、と対比することができます。そして、もうお気づきの方も多いでしょうが、この対比が、TFTとEFTの違いに何処か似ている、と私は感じた次第です。

 

現在の西洋レイキは、西洋医学に置き換わるような代替医療としてではなく、スピリチュアルなヒーリング技術としてその地位を築いているようですが、戦前の日本国内の靈氣は明らかに身体症状の改善を謳いながら同時に悟りをも目指すといった性質のものでした。この大きな違いが、病腺を扱うかどうかという点にありました。

 

そこで私はどうしても病腺についてもっと学びたくなり直傳靈氣の前期後期の講習会も受講したのですが、これは大きな学びが幾つもあったと同時に、残念なところもありました。残念であった点というのは、病腺に対して集中的に靈氣を送るという方針で考えるならば、鍵となるのは、

  1. いかにして重要な病腺を同定するか

  2. 同定した病腺に対していかにして対処するか

という二点になりますが、直傳靈氣はこのうち2に対する答えを持っていたものの、1に対する明確な答えを持っていなかったのです。

 

この問題に対する山口忠夫先生のお答えは、患者さんあるいは依頼者が症状を訴える場所に靈氣すれば良いというものでしたが、これは富田魁二先生の書かれていたこととは合いません。富田魁二先生は、症状を示している場所そのものとは別に最も病腺の反応の強い病腺が離れた場所にある場合がよくあり、これを同定してそこへ靈氣を送るのが肝要だ、と問いていたのでした(富田魁二「霊気と仁術―富田流手あて療法」)。

 

フランク・アジャバ・ペッター著「This is 靈氣」という本を読むと、臼井霊気療法学会に伝わっていた方法として「靈示法」というものが紹介されています。これは靈氣を応用して直感を鍛える方法とされ、昔はどうもこれを用いて病腺の場所を同定していたそうなのです。This is 靈氣には、これの訓練法も簡単に紹介されていますが、少なくとも私にはうまくできませんでした。

 

こうして病腺を同定するための方法を求めた私の探求の旅は頓挫したのでした。私がなぜこれを求めたかというと、知的好奇心ももちろんありましたが、私自身の抱えている持病を治したいというより切実な動機もありました。

 

そうしてしばらく間が空いたのですが、私がキネシオロジーの筋肉反射テストに出会い、これを使えるようになったとき、筋肉反射テストが靈示法の代わりに使えて、病腺の同定に役立つのではないか、と思いつきました。私の調べた限り筋肉反射テストをこの目的で使っているという人は知らないのですが、筋肉反射テストを知っている人からすればとても自然な流れだと思います。

 

そして私の結論を述べると、筋肉反射テストを用いることで、正確に最も重要な病腺の場所をいつでも同定することができます。超能力的な靈示法の訓練を行う必要はなく、単純な筋肉反射テストだけで実際に症状のある場所と離れていても簡単に病腺を同定できます。

 

どうしてこのように断言できるかというと、ふつう出鱈目な場所に手を当てても、病腺のピリピリ感が出るとは限りませんが、筋肉反射テストを用いて同定した場所に手を当てると、百発百中で病腺特有のピリピリ感を感じるからです。つまり病腺のピリピリ感を頼りに筋肉反射テストの結果の「答え合わせ」をすることができるのです。

 

さらに、私の調査の限りでは、靈氣の世界で「病腺」と呼んでいるものが実態としては一体何なのかという議論はほとんどなされていないように思います。これは靈氣を発する手でのみ感知できるようなものなのか、それとも従来から波動医学やエネルギー医療の方面では知られているものに相当しているのか、というのが疑問でした。靈氣の世界では、こういう症状の人にはこのあたりに病腺が出現しやすいと言った知識はある程度あるようですが(仁科まさき著「マイホーム・レイキ」)、何故その場所に病腺が出るのかという理解はほとんどなされていません。

 

筋肉反射テストでは、任意の命題についての真偽も調べることが出来るという考え方がありますが(デヴィッド・R. ホーキンズ著「パワーかフォースか」参照)、これに従って調べた処、「靈氣の世界で病腺と呼ぶ、触れるとピリピリ感などを感じる場所とは、100%例外なくツボ(経穴・奇穴)に対応している」ということです。もしこれが本当であれば、鍼灸などの伝統中国医学や、キネシオロジーと、靈氣とが初めて共通の言語(ツボ・経絡)を介して出会うことになります。とても興味深いと思いませんか。

 

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