もしも、あなたの指先に、誰も答えを知らないような情報について質問してもクラウドのネットワークにほぼ無制限にアクセスして回答が得られるコマンドウィンドウが備わっていたらどうでしょうか?

 

もしも、あなたの指先に、スーパーの食品売り場に所狭しと並ぶものの中から、どんな食品が自分の体に本当によいのか瞬時に測定して数値化する機能がついていたらどうでしょう?

 

もしも、あなたの指先から、治療法が無いとされている疾患、不治の病の治療方針へアクセス可能だとしたらどうでしょう?

 

Apple Watchの未来版の話ではありません。それどころか正確に言えばウェアラブル端末の話ですらありません。体の一部を体が「着る = wear」とはあまり言いませんよね。そう、私は文字通り、血の通った指先の話をしています。

 

つまり、あれでしょう、攻殻機動隊のような、サイボーグ?いい線を行っていますが、違います。本当にただの、生まれつきの、指先の話です。

 

もしも、あなたの指先に、他では知り得ないような真実がごろごろ転がっているとし

たら、どうでしょうか?

 

あなたは信じますか?

 

準備ができていますか?

 

 

もう二ヶ月ほど前のことですが、ふと思いつきで、「そういえば応用キネシオロジーって、ひょっとして一人でできるのでは?」と夜中に思い立ちました。

 

 

ここでいきなり「応用キネシオロジー」と言われても「ああ、それはね」と言ってすらすらと話せるあなたは現代の日本社会では相当の異端児であるはずです。1000人に3人くらいでしょうか。殆どの人は聞いたこともないか、あるいは聞いたことはあるが、やったことはない。あるいは聞いたことはあっても非常に怪しいオカルトのひとつで、それ以上知りたいとも思わない、というような方がむしろ多いかもしれません。

 

筋肉反射テスト」と呼ばれたり、単に「キネシオロジー」と呼ばれたり、はたまたこれは一特殊形についての名前ですが「Oリングテスト(オーリングテスト)」とも呼ばれます。私の想像では日本では一番通じている名前はOリングテストでしょう。どれもほぼ同じことを指すのですが、「応用キネシオロジー」という言い方が一番間違いがないので、できるだけこの言葉を中心に使うようにしますが、呼び名の問題はいろいろと誤解のもとになりますから、これらの定義については繰り返し書かせていただくかもしれません。

 

「ひょっとして一人でできるのでは?」というのは、通常Oリングテストも応用キネシオロジーも筋肉反射テストも、二人一組でやるもの、というのが基本だと理解していたからです。それが一人でもできるかも?というこれだけの思いつきが、大変なことだったのですが、というか今もその大変なことの影響がずっと続いていますが、この前にも「前奏曲」がありました。

 

 

7月頃に、テニスのATP世界ツアーランキングNo.1(この本を読んだ時はずっと長い間一位でしたがこの記事の執筆の直前に二位へ転落しています)のノバク・ジョコビッチ](1987年生まれのセルビア人)が書いた「Serve to Win(邦題『ジョコビッチの生まれ変わる食事』)」という本を読みました。

 

 

これは現役のトップスポーツ選手が書く本としてはかなり異色です。たしかに内容は彼の特別なダイエット、つまり食事内容についてのものですが、具体的に彼が何を食べているかということよりもむしろどのような紆余曲折を経て、どのようにものを考えてそこへたどり着いたのかという道筋のほうに重点が置かれているようです。

 

彼は2011年に世界ランキング一位になっていますが、2010年まで、四大大会の決勝戦まで勝ち上がることは出来ても重要な試合はかならず体調不良で勝ちを逃す、というので、対戦相手の選手から「彼の怪我はジョークだぜ」と言われてしまうほど。スポーツ選手として体調管理には万全を期していいるにも関わらず、一向に自体が改善しないままランキング3位で迎えた2010年1月の全豪オープン準々決勝で敗退。途中で息が出来なくなったそうです。このときが競技人生のどん底だったと振り返っています。

 

このときの試合の模様をたまたま自宅のでテレビで見ていたのが医師の通称ドクター・イゴール、ことイゴール・チェトジェヴィッチ博士(Dr Igor Cetojevic)(http://docigor.org/)。実況中継は喘息だと言っていたが、消化器の問題と直感。半年後2010年7月に、クロアチアでトーナメントを戦うジョコビッチのコートを訪れました。なぜ君がオーストラリアでまた他にも何度も試合中に倒れたのか分かったと言い、「ある種の食品に過敏かどうかを調べるテストだよ」と言って、ジョコビッチの左手をお腹に当てさせて、右腕をまっすぐ横に伸ばすように言いました。(以下拙訳)

 

圧力をかけるので抵抗してみて」と言って、ドクターは私(ジョコビッチ)の右腕を上から押さえました。ちょっとして「これが君の体の本来の感覚」と言いました。


それから彼はパン切れを私に渡しました。食べろって言うこと?


「いいや」彼は笑いました。「胃にそれを押し当てて、右腕をもう一度横へ伸ばしてごらん」そしてもう一度、私の腕を押しました。これが雑なテストだが、ジョコビッチが、小麦等に含まれるタンパク質のひとつグルテンに敏感かどうか分かるんだと説明しました。


これは狂ってるかのように思えた。


しかし、はっきりした違いがあった。パンを胃に押し当てていると、私の腕はチェトジェヴィッチの下向きの圧力に耐えられずにいた。私は明らかに弱くなっていた。


「これが君の体がパンの中の小麦を受け付けないという兆候だ」彼は言った。

 

 

ジョコビッチはグルテン不耐症という言葉を聞いたことがなかったそうです。チェトジェヴィッチ医師は、この後、より確実なELISAテスト

(こちらは西洋医学の王道の抗体を使った検査法)を受けるようにジョコビッチに勧め、その結果、ジョコビッチはグルテンと乳製品への強い不耐症があり、さらにトマトに対してもやや過敏であると分かり、ショックを受けたそうです。

 

これが2010年の7月の出来事で、2011年には彼は七大会連勝を挙げた末ウィンブルドンでも優勝しランキングNo.1に上り詰めたのです。

 

この本を読むと、彼の競技人生のターニングポイントは、クロアチアでの応用キネシオロジーだったことが分かります。その通り、ドクター・イゴールことチェトジェヴィッチ医師がジョコビッチのために行った、この奇妙極まりないテストこそが、応用キネシオロジーであり筋肉反射テストであったのです。

 

「これは狂ってるかのように思えた。This seemed like madness.」

 

というくらいなので、ジョコビッチ自身も相当驚いたのは間違いないのですが、この本で本人が声を大にして強調しているのは「オープン・マインド」であることの大切さ。それまでの競技生活で世界中を回ることで、世の中にはいろいろな考え方があるということを学んでいたので、この奇妙なテストの結果を「あり得ない」と言って退けるのではなく、受け入れることが出来、その結果としてのNo. 1だ、ということです。

 

私も体調不良をずっと抱えてこんでいたので、このタイミングでこれを読んだのは天啓のように思えました。そして、張り切って妻にこういう本があって、こうこうで、食物不耐性が分かるらしい、と言ってこの応用キネシオロジーでグルテン不耐症かどうかを調べようと思ったのですが、妻は一切興味なし。二人一組でやる応用キネシオロジーの筋肉反射テストは諦めざるを得なかったのでした。

 

 

しかし、9月のある晩、ふと応用キネシオロジーを一人でやる方法が既にあって、インターネットで探せば出てくるのではないか、と思ったのでした。

 

続く

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