―当時の先輩はとても熱心に指導してくれました。その中で、「経験はカネを出しても買え」という言葉が大変印象に残っています。自分自身が体験し、感じたことは、かけがえのない宝です。だから若いうちは、経験できる機会を自分から絶対に拒否しないことです。一見、意味がないように思えても、何か得るものがあるはずです。


 ―上司の役割は部下の能力を引き出すことで、部下と競うことではありません。将来マネジメント層になる皆さんに「上司は部下と競争してはいけない」ということを理解していただきたいですね。


 ―仕事という字は『事に仕える』と書きます。私は父から「仕事は楽しいものではないが、楽しくすることはできるぞ」と教わりました。楽しくするためには、何事にも興味を持って見識を広げる努力が必要です。与えられた仕事を徹底的に研究し、積極的にチャレンジすることで、楽しくすることができます。また、自分で得意・不得意を決めつけず、可能性を狭めないことです。


 ―二年ほど前、ある著名人の講演会で『心の才能』という話に感銘を受けました。これは何事にも前向きで、素直に受けとめること。そして他人や環境のせいにせず、努力することです。この才能がない人は、ほかに優れた能力があってもどこかで挫折してしまい、社会で活躍することは難しい。『心の才能』を醸成するには、どこに自分の努力が足りないかを自問しながら、何事にも謙虚で前向きに取り組むことです。


 THK 社長 寺町 彰博