「え~と、誰?あっ、誰だろう?わからんよ、松岡さん」

「えっ?わかんねぇの?まだまだあまいなぁ!ほれ、これこれ!」

と松岡さんは、腕を絞るジェスチャーをしながら、アピールしていた。そう今は1月の終わり、小雪が舞い散る肌寒い日、私たちは碧南高校のグラウンドにいた。毎年恒例のソフトボールの日本シリーズ開始前の光景である。安城店の秘密兵器、あるいは安城店の連続出勤の記録を持ち、安城店のタイガージェットシンの異名をとる今回のこの物語の主人公、松岡秀典さんは念願の日本シリーズに向けてテンションを高める意味で私たち安城店ソフトボール部の部員の前で歴代プロ野球選手のものまね早押し大会を主催していた。

「しょうがねぇなぁ、江藤だよ、これ、これ!」

「あっ、江藤かぁ…」

「じゃあ、これは?」

「原、原!」

「じゃあ、これは?」

「よしひこ、よしひこ!」

原とゆうのは、巨人軍監督の原辰徳さん。よしひこ!は元カープの俊足強打のスイッチヒッターの高橋慶彦さんの事である。どうしても好きなチームの場合ひいきしてしまう。この紹介でも…松岡さんは、熱狂的なジャイキチである。ものまねも必然的に巨人の選手が多い。本人は気づいてないけど…

「じゃあ、これは?」

「あっ、クロマティ!」

この時、松岡さんはクロマティの乱闘シーンのものまねもして受けていたが、この試合、女子高生から本物のデットボールをうけた事を付け加えておきたい。その次の日、足を引きずっていたのは、有名な話だ。どこかのぼんくらとは違いオチがある人だ。松岡さんは…どこかのぼんくらの話は長いだけで、オチがない、つまらん。けっ!

「じゃあこれは?」

「種田、種田!試合中もそれやってよ!絶対、ウケるから!」