【ブログ限定本】上海の夜 | トラストコーチングスクール・マザーズコーチングスクール

トラストコーチングスクール・マザーズコーチングスクール

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前話のつづき



大きな悲鳴と同時に電話は途切れた。



「ヘリを運転してくれた社員がいたのをすっかり忘れてました!


何者かに襲われているそうです…」



すると、トラスト先生はさわやかに言った。



「きっと熊ですね!人はいないはずですから!」


「熊…それは大変だ…どうしよう…」



「もう手遅れでしょうね!かわいそうに…」


「もっと飛ばしてください!まだ間に合うかもしれない!」



すると、トラスト先生は前を見ながらニヤリと笑い、


ハンドルについていた赤いボタンを押した。



乗り心地は急下降するジェットコースターのような感覚へと変わり


気が付くとあの学校の校庭にいた。



「13分…はじめて使ったぜこのボタン…記録更新だ!ふお!」


僕は興奮中のトラスト先生を無視して、車を降りて叫んだ!



「ナダルー!おーい!ナダルー!」



すると、トラスト先生が車から降り、大きな口笛を吹いた。



すると遠くで犬の声が聞こえた。


「あっちだな!行ってみよう!」



すると、遠くで人が倒れていた。


「たいへんだ!きっとナダルだ!倒れてる!」



走りながらよく見るとナダルのお腹に小さな白い動物が乗っていた。



「しゃちょ~助けて…この犬が…」



トラスト先生は大笑いしながら言った。



「グッジョブ!ソウル!さすが番犬だ!」



全身の力が抜けた僕は、氷のような目でナダルを見て言った。


「立て!帰るぞ!」



僕はヘリコプターのエンジンが鳴り響く校庭でトラスト先生


と別れの挨拶をした。



「お気を付けてトマト王子!


そして、トラスト3世にもよろしくお伝えください!」



「ええ!とりあえずアロハ老人に相談してみます。


ラーメンごちそうさまでした!」



ヘリから見える景色は、あっという間に山から海へと変わった。



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「社長!ずいぶん長くお話しをされていたようですが…何か成果でも?」


「いや、まったく!ただ…」


「ただ?」


「美しい女性との出会いが…ミセス・ホワイト…白い妖精…


それと、ラーメンがうまかったな…」



「女性?ラーメン?私が犬に追われている間、美しい女性とラーメンを?」


ナダルはしばらく黙り込んでしまった。



「けど、あの人はめちゃくちゃだったよ!


契約がしたければ、トマトを1万個くれだなんて…」



「あいつめ…人の無様な姿を見て笑いやがって…


けど、よかった!もうあんな危険エリアに近づくのはやめましょう!」




その日の深夜、僕は上海のホテルからアロハ老人に電話をした。



「もしもし、家政婦のシャラポアです」


「あっシャラポアさん!僕です。トマト王子です!」


「ご用件は?」


「あっ…アロハ老人にかわってもらえますか?」


「承知しました」



「もしもし、ご主人様が、用件はなんじゃ!と言っております」


「用件は、トラスト先生に会った件とお伝えください!」


「承知しました」



「もしもし、ご主人様が、だから用件はなんじゃ!と言っております」


「え…っと、トラスト先生にトマトを1万個くれないと契約はしない


と言われたので契約はできませんでした!と…」


「承知しました」



「もしもし、ご主人様が、はっはは!生意気な若造め!と言っております」


「そうなんです!性格がいまいちのようでした。ですからトマト1000個


で力になってもらえないでしょうか?と…」


「承知しました」



「もしもし、ご主人様が、バカもん!若造が1万個なら、わしは10万個じゃ!


と言っております。」


「・・・」




僕は電話を切り、気分転換に上海の夜道を一人歩くことにした。



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外は静かで、すこし肌寒かった。



(もうやめよう!あなん変な人たちの力を借りなくても何とかなる!)


僕はそう何度も自分に言い聞かせて歩いた。



ただ、僕の“心の状態”が悪いという忠告は間違っていなかった。



ここ半年は、家族との時間も減り、妻を思う時間も減った。


秘書のサリーには、毎日“眉間にしわがよってますよ”と指摘されている。


部下には確実に恐れられている。



今思うと、トマト王子になるまでの3年間はとても楽しかった。


大変だったけど、毎日、自分の成長を感じることができ、


常に、ワクワクとモヤモヤで胸が躍っていた。



今では、株主の顔色や株の動きを気にしながら、


いかに今の状態を守ろうかばかり考えている気がする。



そう考えると、僕は今の自分が好きではなかった。



気が付くと僕は海が見える公園にたどり着いていた。


海の方に歩いていくと、ベンチに誰かいることに気付いた。


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恐る恐る近づいてみると、小さな少女がひとり座っていた。





                              <つづく>