Jリーグは2026-27年シーズンからヨーロッパ方式の秋~春制へ移行するが、ここ数年、Jリーグでは過密スケジュールの緩和を目的に7月に中断期を設けており、その期間中にヨーロッパから強豪チームを招待したプレシーズンマッチが行われている。

 

先ごろ、スペインのレアル・ソシエダ、久保建英選手の凱旋試合が東京ヴェルディを相手に行われたが、その後も、7月にセレッソ大阪対シュツットガルト(ドイツ)、ブライトン(イングランド)が鹿島アントラーズ・東京ヴェルディ、また昨年のJ1覇者・ヴィッセル神戸は同じイングランドのトッテナムとの「Jリーグワールドチャレンジ」、浦和レッズもニューキャッスルと「Jリーグインターナショナルシリーズ」を戦う。

 

ヨーロッパのリーグに所属するチームにとっては、早いところでは8月に始まる新シーズンへの戦力を試しつつも、海外のファン開拓という点でのワールドツアーと称したプレシーズンマッチの実施、特に日本人選手の海外進出ということも相まって、日本は大きなマーケットの舞台にもなっていることから、プレシーズンマッチとはいえ、公式戦並みの真剣勝負の場という位置づけが明確になり、本当の世界戦略を占う一戦、それもテレビ中継(ネットテレビも含む)が多く行われることで俄然注目度が高まる。

 

逆にJリーグが海外遠征をするというのは、概ね年末~年始ぐらい、現在のJリーグ春~秋制のオフシーズンにかかる時期にタイなどの東南アジア方面でのキャンプが行われるときに、プレシーズンマッチを行っている例があるぐらいだが、これもJリーグの国際戦略の一環ということで、特にタイはJリーグがアジアサッカーのレベルアップのためにと国際的な協定戦略を結んでいること(現在タイの他、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、イラン、マレーシア、カタール、オーストラリア、スペイン、サウジアラビアの12か国のトップリーグと戦略的業務提携を結んでいる)から、特に東南アジアではテレビ中継が毎週数試合行われ、そのファン層が拡大していること、またオーストラリア、スペイン、サウジ以外はいわゆる提携枠としてJリーグと同様の国内選手扱いとされていることで、Jリーグの経験を母国のリーグにも生かすという動きも盛んである。

 

Jリーグの秋~春制移行のタイミングを計り、多くのクラブは6-7月はキャンプを張ることになるが、そのタイミングで、Jリーグもヨーロッパの強豪クラブとの合同キャンプを張ることを提案したい。期間こそそれほど多くは取れないにしても、ヨーロッパの強豪クラブの練習のノウハウを吸収し、それをJリーグの成長に合わせる。

 

かつて、巨人軍の川上哲治監督が1961年に監督就任をした際、ロサンゼルス・ドジャースのキャンプやマイナーリーグチームがあるベロビーチで長期キャンプを張り、それが1965年からの9連覇を含む在位14年で11回の日本一を経験するなど、野球界の発展に大きく影響したことは有名だが、その仕組みをほぼ応用し、まぁ、ビッグクラブは海外遠征が増える可能性ああり、主力選手との合同合宿は難しいかもしれないが、それでも控え組は現地に残る場合も多いと思うので、それらとも連携し、Jリーグを中心軸に据えてアジアのサッカーの更なるレベルアップにつなげるために、もっと世界戦略を図るべきではないかと考える。

 

かつてJリーグ発足前の日本リーグ時代にも、5-6月にキリンカップが行われていた時期があったが、少なくとも1990年頃まではナショナルチームだけでなく強豪クラブチームも多数出場していたことで知られ、日本の読売クラブやヤマハなども、この世界の強豪クラブとの対戦を経験している。それと同じように複数のクラブチームを招聘して、例えばイングランド、イタリア、オランダといった強豪国の直近のリーグ戦、または、ヨーロッパ2大カップ(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)優勝チームとJ1の上位数チームによるリーグワンのクロスボーダーマッチ的な企画があってもよいだろう。