以前からも述べているが、Jリーグは2026年から秋~春制へ移行し、現在の春~秋制は来年・2025年開幕のシーズンが最後となり、2026年春には、シーズン移行前を念頭に置いたハーフシーズン(0.5シーズン)カップ戦が特設されることになる予定という。

 

 

シーズン移行を前提としたカップ戦は、アマチュアの日本リーグ最後となった1991-92年シーズン終了後、Jリーグが春~秋制に実質的に戻る(1984年シーズン以来)ことになった1992年の秋に行われた第1回のJリーグナビスコ杯が「プレ開幕戦」と位置付けられ、初代Jリーグ参加10チーム(オリジナル10)による総当たり戦ののち、上位4チームがトーナメントを行って優勝を決めるというやり方を採用したという例がある。

 

この秋~春制移行に伴うハーフシーズンカップ戦で、有力な候補として挙げられているのは、それぞれの地域ごとにJ1・J2・J3の総当たり制を8組程度に分けてリーグ戦形式を予定しているとされ、ディビジョン間の入れ替え制度は導入しない(入れ替えは2025年度のシーズンの結果に基づいて2026-27シーズンの所属先を決定する)としているが、いっそのこと、今年から採用されているルヴァンカップ方式を採用したほうが良いと思う。

 

J2のチームは2018年以後はアジアチャンピオンズリーグに出場するクラブがシードで予選リーグに出場しない代わりとして、ACLプレーオフの結果により、前年J1に所属しながらJ2に降格したチーム(最大2チーム)が出場できる権利が与えられていたが、今年からのルヴァンカップはJ1に加え、J2・J3のチームが全チーム参加できる大会となった。J2以下の全チーム出場は2001年以来のことで、今年は、まず2023-24シーズンのACLノックアウトラウンドに進出した川崎F、横浜M、甲府の3チーム以外の57チームを5-6チームを一つの組としてグループトーナメント(原則当該年度の下位ディビジョンの本拠地での1試合)→そこで勝ち上がった10チームによるプレーオフ(ホームアンドアウエー)→それを勝ち上がった5チーム+シード3チームの8チームが決勝トーナメントを行うというやり方。

 

J1勢は大抵は2回戦からスタートしたが、富山がJ1経験のある清水、浦和を撃破、同じくJ1経験のある長崎も浦和を下してのグループトーナメント突破、またグループトーナメントで敗れはしたが、沼津が仙台を、琉球がG大阪を、秋田が湘南を、YS横浜が水戸、長野が徳島をそれぞれ下すなど、上位勢を食うという快挙が演じられ、なかなかリーグ戦では成績面(特に自動昇格が2枠+プレーオフによる勝ち上がり1枠)で同じ組と対戦することができない上位勢のチームと対戦することにより、本来はそのチームの力が上位勢にどこまで通用するかというテーマであるカップ戦でここまで拮抗した戦いを繰り広げているという点を考えると、今のところはこの方式は大成功といえるかもしれない。

 

それを応用するような形で、2025-26ACLエリート(2.5枠。今年のJ1リーグの成績による)、ACL2(今年の天皇杯優勝枠)に出場する4チーム以外の56チーム+2025年夏に申請締め切りが予定されるJリーグライセンスでJ3ライセンスを認定されたJFLクラブの数チーム(ちなみに2024年のJ3ライセンスを保有するJFLクラブは1チーム〈高知〉が辞退したため5チームあった)、またライセンスは保有していないものの、将来のJ3加盟を念頭に置くJFLのクラブにも門戸を開放し(リーグ戦形式かトーナメントかは今後の判断にゆだねるが)、それぞれの地域別のチャンピオンを決めるか、あるいは日程に余裕があれば、その後にACLE/ACL2に出場するクラブを交えたチャンピオン決定戦があってもいいと思う。

 

基本的に入れ替え制度がないということなので、ネットテレビ・DAZNの中継額が減額される可能性や、試合数の増加の懸念による反対意見もあるといわれるが、若手育成に主眼を置き、U-21(21歳以下)のスタメン出場義務(2024年度は完全トーナメント制であるためこれは採用されなかった)というのがあるので、それを準用するような形で、各ポジションにつき最低1人(GK以外なので3人)はU-21メンバーをベンチメンバーとして入れる(必ずしも先発で出場しなければならないという義務はなくてもよい)ことなどをシステムとして盛り込むべきだろう。特にJ2・J3は、いわゆる「育成型期限付き移籍」を適用した上位チームからレンタル派遣された選手も多いので、その選手の出場機会を与える場を提供し、そこで活躍した若手選手の表彰「ニューヒーロー賞」も設ける。

 

特に、主力級が(2026北米ワールドカップ本戦出場を決めたらという前提で)、本気でベスト8以上を狙うための長期強化のためにチームを離れることが増えると思われるので、若手育成の場、そして下位チームが上位チームにどこまで食い下がれるかという力試しの場という位置づけで、この春のJリーグカップを生かすべきと考える。