先ごろの発表でJR西日本はいわゆる旧国電に当たる「アーバンネットワーク」路線(電車特定区間)において、来年・2025年春をめどに、初乗り運賃を従来の140円(鉄道バリアフリー料金10円込み。以下同)から一般路線と同じ150円に、また大阪環状線特定区間(天王寺~京橋~大阪~西九条~新今宮・並びにゆめ咲線西九条~桜島間)で適用していたこの区間を走る16-30㎞の割引電車運賃(例として通常16-20㎞であれば320円を270円と50円引きにしていた)を廃止し、料金の均一化を図ることになった。

 

併せて、電車特定区間の料金対象区間も拡大し、東は滋賀県の野洲・堅田・京都府の亀岡・松井山手から、西は兵庫県の新三田・網干に至る区間もこの電車特定料金区間に拡大される(従来通り学研都市線の松井山手~木津と、奈良線の城陽~奈良、大和路線の奈良~加茂は電車特定区間ではなく幹線の扱いとなる)。

 

いわゆる旧国電(東京のE電、大阪のアーバンネットワーク)区間は、通常の一般路線の場合、少なくとも1980年代は初乗り130円のところを120円の10円引きで乗れるお得感が1958年ごろからあり、国鉄の民営・地域ごとの分割後も、1996年までは全国均一(一部地方交通線と呼ばれるローカル線は乗車距離に応じた追加料金が別にかかる)でこの状態が続いたが、1996年から一般路線の初乗りが140円に値上げされるタイミングでE電区間は130円に値上げされた。それでもアーバンネットワーク区間では初乗り120円で、私鉄よりもかなり安い料金で1駅は乗れるというお得感がずっと続いていた。その後2014年にそれぞれ10円づつの値上げとなり、東京は140円、大阪は130円となるが、E電を含むJR東日本ではいわゆるキャッシュレス(IC乗車カード)を利用した場合、初乗りで4円、区間により2-9円ほどの値下げサービスを取り入れている。それでも大阪は相変わらず東京よりも安い値段で初乗り乗車ができていた。

 

しかし、鉄道需要に比べて運賃水準が他の本州JR各社(北海道・四国・九州のいわゆる本州外の離島は運賃が大きく異なる)に比べてあまり一致しないことから、今回の初乗り運賃を含む均一化を図るということになった。これで関西がJRで日本一安い初乗りではなくなることになった(私鉄などを含めても、最も安いのが大阪メトロ御堂筋線に乗り入れている北大阪急行線、北九州モノレール、岡山電気軌道、若桜鉄道(鳥取)の100円)。

 

僕も高校時代と倉庫会社のうち大正区の会社に勤務していた時代は電車利用者で、それも大半は定期券乗車なので、実際に1回ごとに切符を買ったときの実感(徳庵~大正で当時310円だった)はあまりわかないが、運賃の平準化によって、初乗りなど多くの区間こそ少し高くなるが、従来と同じ運賃もある。環状線特例がなくなるので、環状線利用者には少し肩身が狭くなるかもしれないが、運賃の平準化になったからといって特に大きな変化は感じないのかもしれない。

 

来年の大阪・関西万博では鉄道が主要な需要を占める可能性が高い(夢洲へは大阪メトロか路線バスなのでJR利用者は西九条か弁天町で乗り換える必要はあるが)。それでも、運賃が値上げになるといっても値上げの幅が10円前後であれば、さほど不便さは感じないのかもしれない。