2年前まで北海道日本ハムファイターズの本拠地として使われた札幌ドーム。施設の管理・維持などを目的とした財源確保のための命名権募集が不調に終わっている。

 

実は過去にも札幌ドームの命名権は2011年に募集されたが、応募者が現れず。その後も幾度か命名権の募集が検討されたが実現しなかった。加えて北海道日本ハムは運営会社から球場の借り賃を払っているため、入場やグッズ収入の多くは球団に入らず、ドームの運営会社の財源となっていたことから、これに業を煮やした北海道日本ハムは、札幌市周辺で新たな専用球場の建設にかじを切り、昨年、エスコンフィールドを完成させており、北海道日本ハムは事実上撤退した。

 

今後の焦点としてはJ1・北海道コンサドーレ札幌のホームゲーム・年20試合程度が固定客で、新たな2万人程度収容規模の中規模コンサートホールモードもなかなか誘致には至っておらず、旧来の4万人程度収容の大型アリーナで使うというのが最もという意見も多いようである。その事から命名権の買い手もつかなかったというのが実情だと思える。

 

今回は複数の企業から問い合わせはあったものの申し込みまでには至らず、2月いっぱいでの締め切りを事実上、新たなスポンサーが見つかるまで無期限延長とすることになったのだが、むしろ今の野球なしの札幌ドームではオワコンになってしまっているというのが目に見えている。

 

札幌市は札幌ドームのすぐ近くに、バスケットボール・Bリーグのレバンガの主戦アリーナとして検討している新しい月寒体育館の建設を予定していた。元々2030年誘致を目指した札幌冬季五輪開催を念頭に置いて、2028年完成を目指すという方向だったが、2030年を断念したのはおろか、2034年以後当面は誘致活動を凍結せざるを得ない事態になった。

 

というのも東京2020五輪・パラ五輪を巡る談合で、五輪に対する信頼性・信憑性に疑念が相次いでいることから、早期に五輪を誘致することによっての第2・3の談合があっては困るということで、一度談合の問題点を洗い出し、誘致活動の見直しを計らざるを得なくなったというのが大きい。そのため、開催や誘致を前提とした国からの交付金・助成金も見込めなくなってしまい、新アリーナ建設は事実上風前の灯火となっている。そこで、北海きたえーるを改修することで急場をしのごうという考えという。

 

それならば、新アリーナを建設するのではなく、札幌ドームの新モードをレバンガの本拠地として使うというのはどうかと考える。2026-27年シーズンに開幕する新Bリーグ・プレミアはアリーナのスペックを5000人以上で求めているほか、来賓席の設置などを義務付けている。新モードであれば、Bリーグの公式戦開催にも十分に対応できるため、身の丈に合ったファンの確保にもつなげることができるほか、格闘技(プロレス・ボクシング)などの誘致などにもつなげることができるようにもなる。

 

2026-27年シーズン以後Jリーグが秋~春制となるため、Bリーグとの日程のかちあいによる調整は多少必要になるものの、12-2月はJリーグが冬季休催となることから、その間にホームゲームの過半数を札幌ドームで活用し、サッカーシーズンの時も、なるべくコンサドーレとレバンガが交互にホームゲームをできるように調整するなどの工夫をすれば、顧客獲得にもつながるはずでもある。

 

また夏場、Bリーグ・Jリーグともお休みの間に、北海道日本ハムが特に夏休み期間に「里帰りゲーム」として5-6試合程度、また2軍も数試合札幌ドームで行うことも考えていただきたい。

 

サッカーや野球はフルサイズ、バスケは2万人スペックの新モードと、それぞれ使い分けることによって、新たな札幌ドームの価値観、北海道のスポーツエンターテインメントの形を作り出すことを考えていただきたい。