今季はJ1経験クラブとしては史上3チーム目となるJ3からの再出発を図る大宮アルディージャ。ここの本拠地・NACK5スタジアム大宮は日本のサッカー専用スタジアムではニッパツ三ツ沢球技場と並ぶ老舗と数えられている。

 

1960年に完成し、1万人を収容できるスタンドを兼ね備えた本格的な球技場で、1964年の東京オリンピックや、1979年の世界ユース(U-18ワールドカップ)の試合会場にも認定されていた。ただ、Jリーグ開幕後は収容人員のスペックの問題で、浦和レッズが駒場スタジアムの建て替えに伴う暫定的な準本拠地として使う以外は使用する機会がほとんど皆無だったが、2005年にアルディージャがJ1昇格を果たした際、2年越しで大規模な改修が行われ、その際桜の木が伐採されたが、J1開催基準を満たすスタンドが完成した。

 

しかし、今回の改修は主にゴール裏の増築が主で、メイン・バックスタンドはすぐ近くに野球場があるため大規模なスタンドを作るというわけにもいかないため、屋根の敷設や座席の個別化などの小規模なつくりでしかできなかった。そのため実勢の収容人員は緩衝地帯などを差し引いても13000人程度で、現状ではJ1ライセンスの継続交付が難しいという状況にもなりかねない。

 

現在、埼玉県とさいたま市が中心となって、大宮公園と、すぐ近接する大和田公園を一体整備し、自然公園とスポーツ公園の2つのゾーンでの再開発を進めていくという動きがある。

 

バックスタンド後方にある野球場は、かつて長嶋茂雄氏が立教高校時代に、高校野球の予選会でホームランを打ったという記録が残されている伝説的な球場だが、老朽化が進んでいたこともあって1992年に大規模な改修で近代的なサイズの球場となったが、ライトスタンドとNACK5スタジアムのバックスタンドがちょうど隣り合っていることから、埼玉西武ライオンズにいたころのブラゼル選手が、2008年の千葉ロッテ戦でNACK5スタジアムのグラウンドにボールが飛ぶという異常な記録もあった。

 

いづれにしても、野球場の改修から30年、NACK5スタジアムの改修からも20年近いし、大きな改築をまともにしていないバックスタンドの劣化も心配されると思われるが、僕としては、一案として現在の大和田公園に当たるレジデンススタジアム(市営大宮球場)に野球場の機能を一本化し、現在の野球場を取り壊してバックスタンドの増築用のスペースを確保しつつ、ちょうど野球場はNACK5スタジアムと競輪場の中間に位置していたこともあり、その中間ゾーンに芝生広場やフットサルコート、賑わいスペースとしてレストハウスや埼玉の野球・サッカーを中心としたスポーツの歴史を展示したカフェなどを併設したほうがいいのではないかと考える。

 

現在のレジデンススタジアムも1967年竣工で半世紀以上経過しているため老朽化が否めず、またグラウンドの両翼サイズも91mしかないのとスタンドも1万人足らずしか収容できないため、プロの公式戦で使うスペックには小さい。そこで、一度グラウンドの向きの調整や、スタンドの増築などを計り、現在の県営球場の機能を統合して、プロの開催にも対応できる2万人規模の球場へのリニューアルを図る。

 

NACK5スタジアムは、現県営球場の撤去後、新たにバックスタンドを増築することで、こちらもJ1開催基準を満たす2-3万人程度が収容できるスペックへの作り替えができるようにする。これをきっかけに屋根の敷設も行って、将来のアルディージャのJ1定着につなげられるようにしたほうが、ファンとしても大いに喜べる。