Jリーグ発足当時から始まった「JリーグYBCルヴァンカップ」。1992年は日本リーグからの移行準備、秋春制から春秋制への回帰ということで、リーグ戦の代替試合として1回戦総当たりのリーグ戦を行ったが、1993年からはリーグ戦との併用型で行われている(日程の都合で実施されなかった1995年は除く)。

 

このルヴァン杯が今年はJリーグ正会員60クラブが出場するトーナメントとして一新され、下位クラブが上位クラブに胸を借りて、リーグ全体の底上げに努める大会として一新されることになった。正会員クラブが全部出場するのは2001年シーズン以来で、それ以後は原則J1クラブしか出場する資格がなかったため、J2以下のクラブからは出場資格を与えるべきだという意見も少なからずあったので念願の全クラブ出場という形になった。

 

かつて、ルヴァン(旧ナビスコ)杯は、優勝クラブに対して、「東アジアクラブチャンピオンシップ」(日本開催時)や、南米のクラブ王者との公式戦「スルガ銀行チャンピオンシップ」に出場する権利が与えられたが、2020年は東京オリンピックの開催日程の都合、またその年からのコロナ禍の影響で2019年を最後に中断しており、事実上廃止された状態にある。世界の強豪クラブの出場する4年に1度の大会となったクラブワールドカップへの出場権もかかるアジアチャンピオンズリーグも2024-25シーズンから大きくリニューアルされ、JリーグからはJ1の優勝・2位クラブ、天皇杯優勝クラブがACLエリート、J1の3位クラブはACL2への出場権が与えられ、まさにJリーグのエリートクラブが世界に挑戦する基盤が整う。

 

そのアジア最高峰の戦いに、ルヴァン杯の優勝クラブが出場できないのはおかしいと思っている。やはりチャンピオンの中のチャンピオンが、アジアの最高峰の戦いの舞台に出場できるような基盤は整えたほうがいいかと僕も思う。具体的な出場大会などはJリーグとアジアサッカー連盟(AFC)との交渉にゆだねるとするが、一番良いのはACLEへの出場だろうか。

 

すでに2024-25年シーズンは「J1・2023年シーズンの上位2クラブ」であるヴィッセル神戸と横浜F・マリノス、「2023年の天皇杯優勝」川崎フロンターレがACLE、「J1・2023年の3位」サンフレッチェ広島がACL2に出場する権利が与えられているが、2023-24シーズンのACLで、日本から出場している横浜M、川崎F、ヴァンフォーレ甲府のうちでどれか1チームが優勝した場合、そのクラブをACLEの最優先出場枠(前回大会優勝枠)として出場させるため、この場合、すでに横浜Mと川崎Fは条件が重複するため、広島がACLE、J1・4位の浦和レッズが繰り上げ出場。甲府が優勝した場合は、2位の横浜MがACL2に繰り下げられる。

 

2025-26年シーズンについても、基本は「J1・2024年シーズンの上位2クラブ+2024年の天皇杯優勝クラブ」がACLE、「2024年のJ1・3位」はACL2に回ることが予定されているが、AFCランキングが2位になった場合は、ACLEはJ1と天皇杯の優勝クラブがグループステージから、残りの上位チームは具体的な順位こそ未定だが、ACLEのプレーオフとACL2のどちらかに出場するという取り決めがなされている。

 

したがって、改正することになれば、2026-27年シーズン、即ちJリーグの秋春制移行の年になるわけだが、この際に2025年のJ1と天皇杯の優勝クラブはそのままACLEに出場することにし、現状はJ1の2位はACLE出場となっているところを、ルヴァン杯優勝クラブに与える。したがってJ1の2位はACL2に回る。ただし、ルヴァン杯の優勝クラブがJ1の上位2クラブ、または天皇杯の優勝と重複した場合は、そのクラブが獲得したタイトル数(2冠か3冠)に応じて、微調整をする必要があるが、リーグ戦で振るわなくてもルヴァンで巻き返すことができればアジアへの挑戦権を得られるようにして、J2・J3はJ1ライセンスを取得するという前提が付くが、甲府のようなプロビンチャークラブでも世界と戦う自信をつけさせてもいいのではないか。