昨日12月1日から、NHK衛星放送は従来のBS1、BSプレミアム、4K、8Kの4チャンネル体制から、2KのBS、プレミアム4K、8Kの3つのチャンネルに生まれ変わった。

 

NHKが2020年度に掲げた経営5か年計画の一環で、FM・AMを合わせた3波あった国内向けラジオ、並びにBSの整理統合を進めるという計画の一環によるもので、その改革の第1弾が今回のBS再編であった。

 

1984年、当初2チャンネル体制で始めるはずだったBSは、使用する衛星「ゆり2号a」の太陽電池の不具合で、やむなく1チャンネル体制でスタートし、当初は山間部や離島、特に沖縄県では沖縄本島以外では地上波が見れないという問題があったため、BSで地上波と同時放送することによって、電波格差をなくすことが最初の目的だったとされる。

 

1987年にBS1が独自の24時間放送に踏み切ったことによって、BSは難視聴対策を目的とした放送から、より多彩なコンテンツを提供する専門チャンネルへのシフト化が進み、BS1はニュースとスポーツを柱に、BS2(のちのBSプレミアム)は文化・芸術・映画・ドラマ・音楽などに特化したエンターテインメントチャンネルに生まれ変わった。

 

これに1991年、ハイビジョン推進協会のチャンネルとして開局したBSハイビジョン専門放送(NHK単独としては2000年12月から2011年3月の閉局・統合まで)が加わった3チャンネル体制を経て、2011年4月からデジタル一本化を念頭に一旦は2チャンネル体制としたが、更なるハイビジョンの高画質化にかじを切るため、4K・8Kの開発に急ぎ、現に4Kは民放各局とともに本放送を開始、8Kは一応本放送ではあるが、まだ技術改良の余地があることを踏まえて、NHKが単独で放送しており、8Kを受信する家庭はまだ少なく、どちらかといえばハイビジョン初期の業務用(公開上映実験会場での上映)程度にとどまっているという現実がある。一部では8Kが淘汰されているという見方もある

 

NHKのBSのチャンネル整理で、2K放送がこれまでの2チャンネル体制から1つに統合されたことによって、BSがいわゆるオワコンになってしまわないかという危惧もある。それも、20-30年ほど前はBS・CSが主流だったテレビのコンテンツも、インターネットの普及、特にスマートフォンの普及もあり、ネットテレビへのシフト化が進んでいることがあげられ、在京キー各局も有料会員制であるが、著作権管理が下りた番組を中心に過去に放送されたものをビデオオンデマンド形式で配信するサービスが当たり前になってきたし、最新のドラマやバラエティーなどは、TVerでも1週間限定ではあるが無料で見ることができるようになった。特に、系列局の少ないテレビ東京系、テレビ朝日系を中心に地方で見られない番組がTVerや有料配信で見られるようになったことも、この追い風になってきていることがうかがえる。

 

ハイビジョン放送(2K)が始まったころの1990年代は、フルハイビジョン(捜査線1125本の本来の画質)を見るには、当時で100万円以上、今なら8Kテレビが買える値段の投資が必要になっていたため、捜査線525本の従来画質でダウンコンバートしながら見るタイプのMUSE-NTSC変換デコーダーを別に設置するか、あるいはそれが内蔵された16:9サイズのワイドテレビが普及し、特にサンヨー(現パナソニック)の「帝王」は、変換デコーダーが内蔵されているタイプで、なおかつ元が4:3のサイズだったものでありながら、8万台以上を売り上げたヒット商品だったといわれ、ハイビジョンの普及に一役買っていた。それが、今では過去の遺物になってしまっている感はあり、今の4K・8Kの前に、2010年代にかけて3D立体画像のテレビとか、あるいはプラズマディスプレイテレビなども開発されたものの、残念ながらそれらも淘汰されてしまっていた。

 

僕は現に、J:COMさんに契約するようになってから、専用チューナーは4Kも搭載されたモデル(チューナーのHDDでの録画は可能。市販のBDレコーダーへのダビングは不可)があり、自宅のテレビも最近買い替えたが、中古のリユースで安くあげたいという思いを大切にしているが故、4Kのではなく従来型の2Kのみのバージョンではあるが、ダウンコンバートではありながらも見ることはできる。今後4Kを市販のBDレコーダーでもダビングできるようプログラムの修正や、市販チューナーのBSパススルーが必要にはなってくるかと思うが、そのチューナーには、ネットテレビ(ネットフリックス、プライムビデオ、TVerなど)が搭載されているので、見ようと思えばそれを利用することもできるようになった。

 

最近はそのネットテレビ専用のワイドテレビ(HDMIの外部端子接続でケーブルテレビやBDレコーダーで地デジやBSなどは見ることはできるが)が発売されているが、初期のころから見るとBS・CSテレビの文化が廃れてしまわないかという危険性が指摘されるのではないかと思うと、既存テレビ愛好家から見ると辛い感じがしないでもないと思えるが…。