阪神タイガースが、1994年から若手選手育成のために設けている2軍専用球場として阪神鳴尾浜球場というのがある。

 

元々タイガースは、合宿が甲子園球場の内野席→のちに甲子園球場の近接地に虎風荘(こふうそう)というのがあり、また2軍用のグラウンドは尼崎市にあった阪神電車浜田車庫(路面電車やバスの車両基地)にあった阪神浜田球場を使用していたが、浜田球場の老朽化や甲子園のラッキーゾーンの撤去に伴う、球場の近代化という課題と向き合うことになり、1994年に鳴尾浜臨海公園(ここに基から野球場はある)の隣接地にタイガース専用の鳴尾浜球場が完成し、合宿所「タイガースデン」もこちらに移転した。

 

しかし、厄介なのはナイター設備がないため、夏場であってもデーゲーム開催。2軍の場合は大抵がそういう猛暑の中でも真昼の開催は茶飯事であるので、選手の健康面に影響しないかという不安材料が残る。

 

お隣の県営の鳴尾浜球場の場合はナイター設備が整えられており、高校野球の事前練習の会場としてもよく利用されており、テレビ取材にもここに訪れることでおなじみだが、今のところ、阪神鳴尾浜球場にはそのナイター設備を設置する計画は予定されていない。

 

たびたび、阪神タイガースにも3軍チームを作れという意見もある。そのためには周辺の施設改善などが求められてくる。現に、福岡ソフトバンクは2016年に、それまで福岡市雁ノ巣にあった球場と、西戸崎にあった合宿の距離が離れていたことや、3軍制をにらみ、筑後市の公園敷地内に2・3軍用の野球場と合宿所「ホークスベースボールパーク」を建設し、2軍は基本的に5000人収容可能でナイター設備が整えられた「タマホームスタジアム」を使っているほか、3軍の練習などに使うサブグラウンドを建設している。

 

また、オリックスも2017年から、舞洲スポーツアイランドにある既存の大阪シティー信金スタジアムとは別で、2軍のデーゲームの試合や将来の3軍制導入もにらんだ専用サブグラウンドとしてオセアンバファローズスタジアム舞洲を設置している。球場の管理はオリックスの2軍が舞洲移転後、シティー信金スタジアム共々オリックス球団の運営する大阪シティードームが行っているが、シティー信金スタジアムは基がアマチュア大会に使われることを念頭に置いたという名残から、基本的には市民開放型を維持し、2軍の試合はオセアンスタジアムを使っているが、将来的にはオセアンスタジアムを3軍用にして、猛暑対策でアマチュアとの日程が被らない範囲であればシティー信金スタジアムを使うことも考えられている。

 

タイガースも、ここは将来3軍制を本格的に考えるとき、既存の2つの球場を有効活用したほうがいいと思う。ナイター設備のある県営球場のほうを、現在は両翼が91mしかないため、これを甲子園球場と同等レベル(阪神側の鳴尾浜球場もこれと同じ)に拡張するとともに、ナイター設備をプロの開催にも耐えうるものに拡張するなどの工事を行い、夏場のホームゲームの20試合程度を中心に県営球場で行い、3軍が将来的に導入されれば、県営をメイン、阪神側はサブという風に活用したほうが、選手にとってもより良い実践の場を増やせると思える。

 

そして基本的に3軍は23歳以下の選手で構成する「タイガースU-23」として、福岡ソフトバンクや巨人の3軍、あるいは独立リーグや社会人チームと積極的に交流戦に参加していくのもいいと思う。関西には関西独立リーグ、さらには北陸新幹線エリアを中心に構成されているルートイン北信越BCリーグというのがあり、現に距離的に近い滋賀県・福井県のチームも参加しているし、巨人の3軍も絡ませて若虎の中の若虎が胸を借りるという形で実践の場を増やすのもよいと思う。

 

そうすればタイガースもより強い猛虎が自前で生まれていくいっかけにもなるはずだ。