僕が生まれてからの1970-80年代はいわゆるビデオデッキはVHSかベーターかということで各社それぞれが競争していた時代だった。ベーターは標準画質でも4時間程度録画できる上に、文庫本サイズで場所取らずというのが売り物だったが、のちに3倍モードで9時間録画可能なVHSが台頭、さらにハイビジョン用にということで開発されたS-VHSなどの派生商品も生まれ、ソニーそのものもVHSに進出、さらにコンパクトな8㎜にかじを取ったため、ベーターマックスの発売自体も1990年代で中止されてしまった。

 

2011年のテレビの完全デジタル化により、今でこそVHSやベーターのテープ自体は細々とながら売られているところはあるし、再生専用などの形で既存品を利用する人も少なくはないと思うのだが、現代の主流はDVDとブルーレイにシフトされつつある。僕もブルーレイのヘビーユーザーであり、概ね連続ドラマはたいていが1クール3か月ごとに新作となるため、そのタイミングで難波にあるじゃんぱらで、50枚1600円ほどのブルーレイをよく買いに行く。大手メーカー品のものでも、これに匹敵するもので半分の25枚入り (ケーズデンキ・ソニーのもの)ぐらいなので、かなりのお得感が出る。

 

そのブルーレイとDVDと争ったのが、HD DVDという東芝が開発したディスク規格である。既存のDVD以上に高画質が期待できるとうたっていたが、最も高画質なものでも1時間半程度しか録画できず、これは既存DVDのハイビジョン画質で最も劣るモードを選んだ時と同じくらいしか撮ることができないという弱点があった。

 

結果的に、HD DVDを支持したのは東芝と三洋電機(現在はパナソニックグループに統合)しかなく、需要を最も見込んでいた映画ソフトもワーナーブラザーズぐらいしかそれを発売しなかったそうだが、それも全部BD・DVDにシフトされてしまい、VHS対ベーターに比べるとあっけなく終わってしまった感があるが、HD DVD自体は完全に過去のものとされてしまった。

 

現に僕も、東芝のレグザリンク対応型のブルーレイレコーダー内蔵のHDDチューナーを利用しているが、これがHD DVDだったらかなり淘汰されていたし、既存DVD/BDプレイヤーとの互換もほとんどないため、HD DVDで記録した番組・作品は大半は再生できないということにもなる。それだけに結果的には売り物にならなかったという感じだった。だから結果的に、HD DVDに慌ててシフトすることもなく、一応DVDのレコーダーは父が生前、2003-04年頃からVHSとのダブルレコーダーという形で購入したのが初めてとはなったが、その後はBDレコーダーにシフトして今日にいたっているので、これでよかったのかもしれない。