日本で唯一、電波を通して授業を受ける「放送大学」というのがある。近年では「サイバー大学」とか、一般の国公立・私立大学においても、いわゆるインターネットを活用した通信制大学の事業は当たり前になってきているが、その先駆が放送大学である。

 

元々、放送大学のプロジェクトは1970年代から行われており、NHKや関東の県域UHFなどが中心となって、いわゆるパイロット版に当たる大学の放送授業実験が行われ、のちに各地の大手民放などが、放送公開講座と称した、市民の生涯学習を目的とした大学の授業の公開放送を行ったりしていた。

 

放送大学が大学格を得ることができるようになったのは1985年のことで、この年の4月から、関東地方向けに地上波のテレビとFMラジオを使い講習が行われた。サービスエリアが限られるため、当初の受講生の受け入れは必然的に関東1都6県と山梨・静岡・長野・福島のごく限られた地域に事実上なっていた。

 

1990年代以後は、全国主要大学とのタイアップで、関東地方で放送された内容の授業を、ビデオやカセットテープに収録したものを受講する「地域スクーリング」を開始。1998年から衛星放送による全国展開が始まり、当初はスカパー!とケーブルテレビ向けに配信が行われた。その後地上波・BSのデジタル放送への完全移行が進むため、2006年から関東地方で地デジ放送を開始、続いて2009年からBSによる放送が開始された。2011年にはスカパー!向け(3月)と地アナ(7月)の放送が終了し、現在のBSによるテレビ・ラジオと関東地区の地デジ・FMラジオでの授業という形になっている。

 

だが内容的には全く同じ授業の番組を放送しており、地上波展開が事実上関東地方だけで、その他の地域での地上波の展開は周波数領域その他の問題から実現しなかったことや、衛星放送の普及により、全国で同じ環境で授業を受ける環境が整えられたことから、来る2018年10月に関東地区での地デジ・FM放送を廃止することになり、BS・radiko(ネットラジオ)に特化する方針が決まった。

 

放送大学の最大のメリットは、高卒資格を取得すれば、4年制大学の卒業資格を取得可能な、自分の身の丈に合わせた授業が提供できることにある(これが「全科履修生」という)。もちろん高卒資格を持っていなくても、1科目から、好きなカリキュラムだけをセレクトして受講できる「専科/科目履修性」というのもあり、自分の身の丈、ペースに合わせて授業を受けられる。

 

また放送は予め所定の授業(放送)時間が設定されているため、なかなかその授業に所定の時間参加できなくても、インターネットを活用したり、あるいは仕事が終わってから各地のスクーリング会場で放送のVTRやカセットを聞きながら、自分の都合のよい時間に補習を受けることも可能であるという点だ。

 

僕は9年ほど前に今の家に引っ越してから、eo光ケーブルテレビに加入しており、放送大学を受信できる環境にある。今は、経済的に厳しいので、大学入学は無理なのだが、将来にわたって、コミュビジを究めていくための地域文化の創生に何が必要かを考えた時、ヘルパー資格の取得再挑戦とともに、もちろん仕事を安定して進めてからになるが、4年制大学を卒業して、将来の転職・起業にもつながる取り組みもしてみたいと考えている。